日経平均は1万7000円の大台に乗せ、200日移動平均も同時にクリアしてきた。25日移動平均が75日移動平均を上回るゴールデンクロスが示現したのが前回ザラ場高値の8月12日。その後、いったん押したが75日線できれいにサポートされ切り返し、一気に上値を抜いてきた。週明けの東京市場で日経平均が200日移動平均を上回れば昨年12月以来。メールマガジン新潮流の【今週のマーケット展望】で書いた通り、昨年のチャイナショック以来、1年余りに及んだ日本株とドル円の調整も終了が見えてきた。ここからは新しいステージの始まりである。
8月19日付レポート「日銀のETF買いとドル円相場」以来、主張し続けてきたことだが、ドル円相場は米国の年内利上げ観測の織り込みがまったく不足しており、現在は急速にキャッチアップしつつある状況である。円安進行が株高の明示的な背景であるのは間違いないが、もうひとつ重要な流れが7月末以来、進行している。
それは日銀が次回会合で行うと宣言した「総括的な検証」についての思惑である。市場の一部では、国債購入ペースの柔軟化とセットでマイナス金利の深堀りを打ち出すのではという見方が出ている。これを受けて国債のイールドカーブはスティープ化している。イールドカーブが立つということは長短スプレッドが生まれ金融機関は利ザヤが稼げる。こういう状況になればマイナス金利が拡大されても銀行株が売られることはない。事実、過去1カ月の東証33業種別パフォーマンスのトップは銀行業である。その間、長期金利はずっと上昇してきた。
10年債利回りは、マイナス0.022%。気が付けばプラス金利への浮上まであと少しのところにきた。10年債利回りの200日移動平均はマイナス0.02%。日経平均の200日移動平均超えに続いて10年債利回りもその水準を抜けてくるだろう。長期国債先物はすでに先週200日移動平均を割り込んでいる。
今日のコラム【新潮流2.0】で書いた通り、最初に提示されたときにはさんざんの評判だったマイナス金利政策も、展開次第ではこんなポテンシャルがあったと多くの市場関係者が思っていることだろう。
前段の文章に「長期金利」も加えよう。日本株、ドル円、そして長期金利の調整も終了が見えてきた。ここからは新しいステージの始まりである。但し、日本株とドル円については、「昨年のチャイナショック以来、1年余りに及んだ」調整と形容できるが、長期金利の長期低下トレンドがここで本当に大底を打って反転上昇に転じるかは、まだ予断を許す状況ではないだろう。
【お知らせ】「メールマガジン新潮流」(ご登録は無料です。)
チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから