先週12日に米下院にて行われたイエレンFRB議会証言の内容やその後に発表となった幾つかの米経済指標の結果などにより、足下でドルを取り巻く相場のムードは一変してしまったような感もないではありません。

前回更新分の本欄では、ドル/円について115円台乗せを視野に入れた話題を展開していたわけですが、あにはからんや昨日(18日)は一時111.69円まで下押す場面も見られていました。結果、昨日の値動きでドル/円は21日移動平均線(21日線)をクリアに下抜ける格好となり、一時は200日移動平均線(200日線)をも下回る水準まで下押すこととなったのです。

もちろん、この200日線(現在は111.81円)は依然上向きで推移しており、当面の下値サポートとして機能することに大いに期待することができると思われます。また、そのすぐ下方には一目均衡表(日足)の基準線(現在は111.65円)や89日移動平均線(89日線/現在は111.48円)などの節目があり、総じてドル/円の111円台半ばから後半の水準というのは下げ渋りやすくなるところであると見込まれます。

次にドル/円の週足に目を向けてみると、今週の週足ロウソクが今まさに一目均衡表の週足「雲」上限の水準(現在は112.05円)を試す展開となっていることがわかります。昨日から本日にかけては一時的にも同水準を下回る場面が見られており、週末時点(週足・終値)で週足「雲」上限よりも上方に居留まっているかどうかを見定めたいところです。

ちなみに、週足・終値ベースという点では週足の「遅行線」が26週前の週足「雲」上限が位置するところ(112.12円)よりも上方で下げ止まるかという点も注目されます。この週足の「遅行線」については、2016年2月の第2週以降長らく週足「雲」上限よりも下方で推移していたものが、6月の第4週において久方ぶりに週足「雲」上限を上抜けてきたという経緯があり、ここで再び週足「雲」上限を下抜けてしまうかどうかは相当に重要なポイントと言えます。

では、ここで毎月恒例であるドル/円の月足に目を移して行くとしましょう。下図でも確認できる通り、先月(6月)の月足は、月中に月足「雲」の中に一旦潜り込む格好となったものの、最終的には陽線となって月末時点(月足・終値)では、しっかり月足「雲」上限よりも上方の位置に居留まることとなりました。つまり、先月もなお月足「雲」上限のサポートが機能したということです。

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さて今月(7月)はと言いますと、ご覧のとおり、ここ数日の下げによって月足「雲」上限の水準=112.67円を下抜けるような格好となっており、また今月も「月末にかけて112.67円よりも上方の水準まで持ち直すかどうか」が注目されるところとなります。言うまでもなく、2013年11月以来一度も月足・終値で月足「雲」上限を下抜けたことはないのですから、戦略的に言えば「月足『雲』上限より下方の水準は押し目買い」と考えるのが基本ということになります。

なお、今年の1月以来ずっとドル/円の月足・終値は31カ月移動平均線(31カ月線)に上値を押さえられる状態が続いており、直近(先週11日)高値である114.49円も同線に頭を押さえられるような格好となりました。しかるに、引き続き31カ月線との関係性についても注目を続けて行く必要があるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役