周知のとおり、本日(9月21日)は日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が同じ日に行われるということで、其々の結果が判明した後には相場に一定の波乱が生じるものと見込まれます。ただ、明日は東京市場が休場となり、そこで"ワンクッション"を挟むことができることから、ここは『待てば海路の日和あり』で、文字通り新たな船出の好機を冷静に待つことが何よりの得策であろうと思われます。

とはいえ、何らかの心づもりをしておくことも大切であり、ここでは2つのイベントが通過後の基本的な方針について少し整理しておきたいと考えます。まず、ドルの今後の行方を想定するうえで重要な米国経済の現状と米金融政策の関わりについてですが、それは「無理に9月利上げに踏み切る必要もないのだろうが、12月に持ち越しとなると少々手遅れ気味になる可能性がある」という状態なのではないかと思われます。

つまり、仮に9月米利上げが見送られたとしても、それは「米国経済の先行きに暗雲が漂っているというわけでは必ずしもない」ということだろうと思うのです。よって、基本的には目先の値動きをしっかり見定めながらも、適当な押し目があればそこは丹念に買い拾って行く方針で臨みたいと個人的には考えます。

ドル/円については、2大イベント通過後に一旦下値を探る展開になったとしても、やはり62カ月移動平均線(現在は100.47円)や6月24日安値=99円などの水準が下値を支える可能性が高いと見られます。「日足ロウソクが下ヒゲを伴う形状となるかどうか」といった点なども確認しながら、慎重に押し目買いのチャンスをうかがいたいところです。もちろん、FOMCの結果次第ではドルが一気に強含みとなる可能性もあり、下値の余地はかなり限られるかもしれません。

一方で、ユーロ/ドルの売りが有効となる可能性についても一応は検討しておきたいものと考えます。下図に見るように、目下のユーロ/ドルは一目均衡表の日足「雲」下限を下抜けた状態にあり、少々弱気のムードが強まりやすい状態となっています。すでに21日移動平均線(21日線)や89日移動平均線(89日線)をも下抜けており、今後も下値模索の展開が続いた場合、21日線が89日線を上から下へ突き抜ける「デッド・クロス」の弱気シグナルが示現する可能性も高まっています。

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振り返れば、今年6月24日安値からの戻りというのは「昨年12月3日安値と今年3月10日安値を結ぶ以前のサポートライン」に幾度も跳ね返されるというパターンが繰り返されてきました。ここで、同ラインと並行して7月25日安値を通るラインを当面の下値サポートと考えると、今まさにそのサポートを下抜けるかどうかの瀬戸際にあるということもわかります。また、8月5日安値や8月31日安値を結ぶ直線を「三尊天井(ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ)」のネックラインと考えた場合には、すでに同ラインを下抜けた状態にあると見ることもできるでしょう。

今後、幾つかの重要な節目を順に下抜けて弱気ムードが一段と強まった場合、まずは8月5日安値が位置する1.1050ドルあたりの水準や大節と言える1.1000ドルあたりの水準が当面の下値の目安となる可能性もあるものとみて、今のうちからある程度の心づもりをしておくことも必要ではないかと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役