周知のとおり、目下の外国為替相場は、本日(27日)の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明公表と明日(28日)の日銀金融政策決定会合の結果発表を控え、全体に様子見・手控えムードが強く漂う展開となっています。

今回のFOMCは声明文のみの公表となるため、既往の政策は据え置かれ、あまり波風も立たずに通過すると見る向きが多いようですが、6月の追加利上げの可能性を必ずしも封印しないニュアンスを含む文言が声明文に盛り込まれる可能性は高いと見られ、そうした文言に対する市場の反応は注意深く見定めることが必要であろうと思われます。

一方、日銀の政策会合については市場で追加緩和実施の期待が強まっており、実際に追加緩和策が打ち出された場合には、当然、その詳細な内容に市場の関心は集中することとなりそうです。先週、ブルームバーグが「日銀が銀行に対する貸出にもマイナス金利の適用を検討する案が浮上している」と報じたことで、市場に溜まっていた円買いポジションの相当部分が一気に巻き戻されることとなりましたが、必ずしもすべてが巻き戻されたわけではなく、明日の結果次第ではもう一波乱あり得るものと心得ておく必要はあるでしょう。

仮にドル/円が大きく上下に振れた場合には、それがクロス円全般の値動きにも大きく影響するものと考えられ、その意味では今、非常に興味深い局面を迎えている豪ドル/円の値動きにも大いに注目しておきたいところです。下図においても確認できるように、豪ドル/円が現在位置している水準には複数の重要な節目があり、それらの節目との関わり方によって今後の展開が大きく変わってくる可能性もあると見られます。

まず注目したいのは、豪ドル/円の2014年11月高値と2015年5月高値、同年11月高値などを結ぶレジスタンスラインです。これは、同線に平行して2015年8月安値を通るラインとで形成される「長期下降チャネル」の上辺にもあたるもので、当面は「このレジスタンスラインを上抜けるかどうか=長らく形成されてきた下降チャネルを上放れるかどうか」をしっかり見定めたいところです。仮に、同ラインを上抜ければ今後の目線は大きく上がることになると思われますし、今回もまた同ラインに押し戻されるような格好となれば、あらためて一旦は目線を下げる必要に迫られることとなるでしょう。

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次に、今年の年初に豪ドル/円が大きく値を下げてから今日に至るまで、ずっと上値を押さえてきた86円台半ば前後の節目というのも大いに注目しておきたいところです。この水準というのは、年初から形成していたと見られる「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム(逆三尊)」のネックラインが位置する水準と見做すこともでき、そうであるとするならば、今まさに豪ドル/円は「逆三尊の転換保ち合いフォーメーションが完成するかどうかの正念場にある」ということになります。

もちろん、この86円台半ば前後の水準というのは非常に強い上値抵抗でもあり、今回も再び押し戻されてしまう可能性は十分にあると思われます。また、このネックラインや前述したレジスタンスラインを上抜けたとしても、その上方には一目均衡表の週足「雲」が控えており、この「雲」が2015年の2月から6月下旬あたりにも見られたような強い上値抵抗となる可能性もあります。いずれにしても、現在の豪ドル/円は非常に興味深い水準に位置しており、当面の値動きからは目が離せないものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役