本日(27日)以降、米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表や米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長会見、日銀の金融政策決定会合、黒田日銀総裁会見と、国際金融市場にとって極めて注目度の高い重要イベントが相次ぎます。それらの結果や内容次第で一時的にも市場は大きく揺れ動く可能性が高いものと見られます。
すでに欧州中央銀行(ECB)は先週21日に今年最初の理事会を終え、既往の政策自体は据え置かれたものの、ドラギECB総裁が「政策スタンスは3月に見直す必要」などと述べたことで、一旦は市場全体のリスク回避ムードが緩む場面もありました。考えてみれば、次回のECB理事会は3月10日に行われることとなっており、まだだいぶ先のことです。
同じように、2月はFOMCも日銀会合もなく、次回はFOMCが3月15-16日、日銀会合が3月14-15日と、それぞれにかなり先のこととなります。それだけに、この1月のFOMCやイエレン議長会見、日銀会合や黒田総裁発言が相場に及ぼす影響は小さくないものと見られ、何らかのポジションを抱え持った投資家の方々は、まさに戦々恐々の思いで今週のイベントを迎えられるかもしれません。
もちろん、そこにはチャンスもあるはずです。ことに筆者は、本欄の1月13日更新分でお示ししたユーロ/ドルの展開にあらためて注目したいと考えています。あれから2週間経ちましたが、依然としてユーロ/ドルは一定のレンジ内での値動きに終始しており、これまでのところは上値の節目で「売り」、下値の節目で「買い」という売買を機械的に繰り返すことで一定の成果を得ることも可能でした。
おさらいになりますが、上値の節目というのは一つに89日移動平均線(89日線)で、振り返れば1月15日や20日の戻りも89日線によってガッチリと押さえられたことがわかります。一方で、下値の節目は1.0800ドル付近にあり、1月7日以降は終値で同水準を下回ったことがありません(下図参照)。
ここで考えたいことは、まずFOMCやイエレン議長会見でハト派的なムードが強まり、さらに日銀会合の結果や黒田総裁発言が市場の期待を裏切ることとなった場合、一旦は対円でドルが強含みとなり、対ユーロでもドルが弱含みとなる=ユーロ/ドルに対する買い圧力が強まるケースがあり得るということです。
その場合、ユーロ/ドルは再び一目均衡表の日足「雲」のなかに潜り込み、あらためて89日線や日足「雲」上限を一旦試す可能性があるものと思われます。もともと89日線や21日移動平均線(21日線)は下向きですから、一旦上値を試す動きになっても重要な節目では相応に上値抵抗が強く機能する可能性もあるものと思われ、一時的な戻りは「売り」で対応するのも一考ではないかと思われます。
まったく逆に、ドル買い圧力が強まる展開となった場合には、もともとユーロ/ドルがやや下向き傾向を示していたこともあり、ついに1.0800ドル前後の下値の節目を下抜ける展開=これまでのレンジから下放れる動きとなる可能性もあります。その場合は、むしろ下向きの動きが加速する可能性もあるものと考え、とりあえず「売り」で対応するというのも一考でしょう。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役