円安がじりじりと進んでいます。12日のジャネット・イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言を受けて、急速に円高にふれる場面がありましたが、瞬間的だったように思います。一方、東京株式市場は6月相場で上昇が鈍かった円安メリットの海運や自動車といった出遅れ業種は、比較的安心して買える状況かもしれません。週末にはアメリカの金融機関の決算発表を控えているため、メガバンク株などは手掛けづらいと思いますが、代わりにアメリカの大手ネット4社のFANG(フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、アルファベット)を中心としたハイテク株が下げ渋ってきている分、ソニーや富士通といった国内のハイテク株の戻りを狙う買い物も、日経平均の上昇に寄与しています。

7月に入ってから発表される国内外の6月の経済指標が良好です。米6月ISM製造業景況指数が57.8(5月54.9)まで上昇し、2014年8月以来の高水準を記録。米6月雇用統計では非農業部門雇用者が+22.2万人と4カ月連続の20万人割れを回避したことに加え、市場予想を大幅に上回る結果となりました。中国も6月PMI製造業が市場予想を上回ったほか、国内では6月日銀短観で大企業の景況感の改善に広がりが確認できました。6月景気ウォッチャー調査では現状判断が6カ月ぶりに好不調の分岐点となる50を回復、インバウンド(訪日外国人)消費が地方経済を盛り上げています。

さて、前回取りあげた「第465回 決算期間のドル/円」の話。今月後半から始まる国内企業の4-6月期の決算発表期間に入ると円高基調に変わる可能性もあり、注意が必要といった内容でした。
では、ドル/円相場のチャート分析ではどのように判断できるでしょうか。去年12月に1ドル=118.12円の高値をつけたあと、円高方向に上値と下値を切り下げる動きを続けましたが、直近の6月安値は4月の安値を下回らずにほぼ一本調子で円安方向に動いてきました。そのため、短期的には25日線に向けて調整するような感じになってきましたが、7月11日の段階で5月の戻り高値114.28円を上回りました。これにより、上値と下値を切り上げる動きに変わったことが確認できました。つまり、当面は円安トレンドに変わった可能性が高く、年後半にかけては一段と円安優位に進むことが予想されます。年内の上値メドは119.95-120.60円処とみています。

一方、日経平均は7月に入ってからは5月、6月に比べ日中の値動きが少し大きくなりつつあります。週足チャートでみると、短期の13週線、中期の26週線、長期の52週線ともに上昇トレンドを維持しています。特に注目は13週線で、4月以降は下落に転じる場面がありましたが、再び強い上昇トレンドになりつつあります。これは中長期の上昇トレンドの中でよくある短期的な調整が一巡したことを意味しており、株価も高値もみ合いからまもなく一段高を期待できる局面とみています。
例えば、6月の日銀短観で示された大企業製造業のドル/円の想定レートが1ドル=108.31円です。これは3月の日銀短観時と変わりません。しかし、ドル/円相場は一段と円安方向に向き始めています。ドル/円相場の5月の戻り高値超えと同じ日に、日本を代表するトヨタ自動車株が5月の戻り高値を上回り、底入れの公算大。これは何を意味するのか?
出遅れた株まで買われると相場全体の上昇が一巡するとよく教わってきましたが、トヨタ自動車の底入れは逆の捉え方をした方がいい。短期的な円高は輸出関連株の上値を抑える要因にはなるでしょうけど、再び円安方向に向かえば、景況感の改善とあわせて企業業績への期待(1株あたりの利益の上方修正期待)につながり、今でもバリュエーション面で割安といわれる日本株を爆買いする黒船(海外の年金基金)が出てきそうな気がします。妄想に近いかもしれませんが・・・

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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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