アメリカで発表された米6月ISM製造業景況指数が57.8(5月54.9)まで上昇し、2014年8月以来の高水準を記録。このところクローズアップされていた、アメリカの景気減速への懸念がやや払拭された感じがします。中国の6月PMI製造業も市場予想を上回ったほか、国内では6月日銀短観で大企業の景況感に広がりがみられました。
東京株式市場は地政学リスクが再び意識されていますが、アメリカの独立記念日に北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験をしてくることは、「ある程度は予想できたこと」という感じで、もはや大したダメージを与えません。「ほかにもっとやることはないのか」と批判するトランプ氏の発言もわかるような気がします。
日経平均が取引時間中に弱含んでも、米中の景気指標の改善を背景に、6月に弱かった「鉄鋼」「非鉄」「自動車」といった米中関連業種に買いが入りやすいほか、バリュー買いとの理由付けで大黒柱の「銀行」に買いが入るため、結局は戻して終える底堅さが続いています。

さて、7月後半からは、主に3月本決算企業の第1四半期(4-6月期)の決算発表シーズンに入ります。景気の改善が企業業績へ波及するかどうかがポイントです。少し早いかもしれませんが、今でも決して悪くない国内企業の業績を材料に株を買えるかどうか。そのためには、円安といった側面支援も必要です。業績のモメンタムは1-3月期と変わらないと思いますが、1-3月期の決算発表があった期間は、ちょうど、ドル/円相場が4/17安値(1ドル=108.13円)を起点に5月前半には114.36円程度まで上昇した局面でもありました。株価も上昇しました。
果たして、今回も円安が株高の追い風になるでしょうか。すでに、ドル/円相場は6月の直近安値1ドル=108.77円から、7/3には113.47円程度まですでに上昇しています。筆者が日経平均の次の変化日と予想している7/18前後から基調が変わるとすると、為替市場の方も7/18前後で円安のピークを付け、今度は円高トレンドに変わる可能性があるかもしれません。
上述したように、1-3月期の決算発表期間は円安でしたが、その前の10-12月期の決算発表期間は円高(1/19-2/7)でした。7-9月期の決算発表期間は米大統領選挙前後の波乱相場で傾向がつかめませんが、4-6月期の決算発表期間も円高(7/21-8/16)でした。なので、短期的な変化でしょうけど、嫌な予感はします。

最後に、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、「テクニカル分析について学びたい」という読者の方々のために、ハンドブック(初級編②)を作成しました。前回大好評をいただいた基礎編、初級編①に続く、3冊目になります。無料で配布しておりますので、興味のある方は、以下のNTAAのHPからぜひお申し込みください。なお、基礎編、初級編①はNTAAのHP内(出版事業をご参照)で読むことが可能です。
http://www.ntaa.or.jp/ntaw/02-cnt/uploads/2017/06/TAhandbook3-s.pdf (外部サイトへ遷移します)

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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