目下の市場では、本日(25日)のNY時間に関心度が高い米経済指標の発表が数多く予定されていることやサンクスギビング・デー(感謝祭)を間近に控えていることなどによって、10月半ばから継続していたドル強気の流れが小休止する展開となっています。ポジション調整絡みの動きなども見られ、足下ではユーロ/ドルが一旦下げ渋る一方、ドル/円は21日移動平均線(21日線)が位置する水準(現在は122.33円)あたりまで下押してきており、目先はドル/円がこの21日線を下抜けるかどうかが一つの焦点です。

仮に21日線を下抜けた場合は、まず11月16日安値=122.23円が試されることになると見られ、さらに同水準をも下抜けた場合には、下図においても確認できる31週移動平均線(31週線/現在は122.03円)が意識されやすくなるものと見ておけば良いでしょう。いずれにしても122円台前半の水準では押し目買いが入りやすいと考えられ、短期的なスタンスからすれば、理想の逆張り水準と考えることもできるように思われます。

なにしろ、来週は3日に欧州中央銀行(ECB)の定例理事会が予定されており、何らかの追加緩和策を実施するとの決定が下されるとの見方が市場で日に日に強まってきているのです。現在、月間600億ユーロのペースで実施している債券購入プログラムの期限を延長する、あるいは月間の購入規模を拡大する、マイナス金利を拡大するなど、いくつかの選択肢があると見られますが、それらを複数組み合わせてより大胆に実施するのではないかと見る向きもあるようです。

もちろん、12月半ばに予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)において利上げ実施の決定が下されるとの見方も一段と強まっており、シンプルに考えれば、足下の調整的な動きが一巡した後に、ドル強気の流れは復活すると見るのが妥当でしょう。FOMCの日程が近づくなかで、再びドル/円が125円台に乗せる可能性も十分にあるでしょうし、場合によっては一時的にも今年6月高値=125.85円を上抜ける動きとなる可能性もあるものと思われます。

ただし、FOMCを通過した後もなおドル高・円安の流れが続くかどうかと言えば、それは少々微妙です。FOMC声明や後に行われる会見の内容にもよりますが、どちらかと言うと「将来的な利上げのペースはかなり緩やかなものになるであろう」ということを強く示唆する内容になる可能性が高いと見られ、それを受けて市場が「とりあえず一旦はドル買い材料出尽くし」と判断する可能性もあるものと考えられます。

12月のFOMCに相前後してドル/円が一旦は調整局面を迎えるとするならば、そこであらためて注目されるのが、下図にも示した「これまでの中長期的なドル/円のサポート」です。過去において、まず一目均衡表の週足「雲」が非常に強い下値支持として機能してきたことは一目瞭然であり、さらに62週移動平均線(62週線)や長期サポートライン(2012年9月安値とその後の安値を結ぶライン)などが果たしてきた役割も見逃せません。

こうした過去の複数のサポートを明確に下抜け、さらに週足の「遅行線」が週足ロウソクの位置するところを明確に下抜けてきたとき、そのたびに調整局面入りしたとの感触は強まるでしょうし、そうなれば段階的に当面の下値(調整)メドというものを想定して行くことも必要となります。よって、今後も週足ロウソクに一目均衡表、31週線、62週線などを描画したチャートを折に触れてチェックすることは重要です。

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コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役