今、まさにドル/円は121.85-122.00円という下値支持ゾーンの攻防を続けています。本欄の6月17日更新分でも注目したように、同水準は「一つの節目として意識されやすい」ところであり、同時に非常に重要な下値支持として機能しているものと見られます。振り返れば、6月30日の安値や7月6日の安値は122.00円を下回ったものの、121.85円は下回っておらず、いずれも終値では122円台を回復しています。

足下では、ギリシャにおける国民投票の結果によって支援協議の行方がますます不透明となっていることに加え、度々の対策を講じているにもかかわらず中国の株安に歯止めがかかっていません。こうしたことなどを背景に市場のリスク回避ムードは強まり、米国債への資金シフトが生じている(米債利回りが低下している)結果、ドル/円では円買い・ドル売りの傾向が強まりやすくなっています。

下図にも見られるとおり、ドル/円は6月5日に125.85円の高値を付けて以降、上値を切り下げる展開を続けており、目下は6月5日高値と6月24日高値を結ぶレジスタンスラインや21日移動平均線(21日線)に上値を押さえられる格好となっています。すでに一目均衡表(日足)の遅行線は日々線を下抜けており、基本的には弱気ムードが強まりやすい状況にあるなか、前記の下値支持ゾーンが強硬に一段の下落に歯止めをかけているといった印象です。

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目先は、何より日足「雲」上限を下抜けて「雲」のなかに潜り込むこととなるのかどうかが注目されます。仮に、日足「雲」のなかに潜り込んだとしても、今週10日以降は「雲」の下限が122円台に浮上してくるため、この「雲」下限が下値の支持役として機能するようであれば、なおも下値支持ゾーンは死守される格好となります。

もちろん、日足「雲」上限が下値をサポートする可能性も残されていますし、仮に「雲」のなかに潜り込んでも、しばらく横這いでもみ合う展開が続けば、数日内に前記のレジスタンスラインを上抜ける可能性もあります。そのような展開となった場合には、まだ125円台復帰への市場の執着は消失しないと考えていいものと思われます。

逆に今後、121.85-122.00円の下値支持ゾーンを明確に下抜けた場合、それは同時に日足「雲」下限をも下抜けることをも意味し、弱気ムードは一気に強まります。この後、さらに下方に控える89日移動平均線まで下抜けるといった展開になれば、当面は120円前後にまで目線を下げる必要が生じるものと思われます。120円というのは一つの重要な心理的節目ですし、3月下旬から5月半ばあたりまでドル/円の上値を押さえ続けた水準でもあります。

振り返れば、昨年12月8日高値を起点とするドル/円の保ち合い局面は5月下旬あたりまで長らく続きました。その保ち合いも終盤に差し掛かると、徐々に119円前後の水準が下値をサポートするようになりました。つまり、保ち合いの終点は119円前後です。そのことから考えて、今後も円安・ドル高の大きな流れが継続するためには、やはり119-120円という水準を明確に下抜けてはならないということになるものと思われます。あまり先走ってはいけませんが、その点も一応は頭の片隅に置いておきたいものと考えます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役