ついに昨日(17日)から、2日間に渡って行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)の幕が切って落とされました。果たして、本日(18日)のNY時間に明らかとなる声明文やイエレンFRB議長会見の内容は、6月利上げ実施の可能性に含みを持たせることとなるのかどうか、今はただ結果の発表を静かに待つよりありません。

この3月のFOMC日程を迎えるまでの間、とにもかくにもユーロは大きく下落しました。ことにユーロドルの下げはかなり苛烈なものとなっており、年初に1.2000ドル台に位置していたものが先週13日には一時1.0462ドルまで下押すという有様です。

ブルームバーグがまとめたストラテジストおよびアナリスト約90人の予想中央値は、3月6日時点で2015年内に1.1000ドルまで下落するというものでした。それが翌週末には今年の年末予想で1.0800ドル、来年3月までの予想で1.0600ドルまで引き下げられたわけですが、それでも実際の値動きに対しては大きく後れを取っています。

もちろん、今回のFOMCの結果によっても目先的なユーロ/ドルの行方は大きく左右されることとなりますが、とりあえずは現時点のユーロ/ドルがどういった位置にいるのかということを確認し、今後の下値余地がどの程度まであるのかを大まかに想定しておく必要はあるでしょう。

下図(左)に見るように、ユーロ/ドルは08年7月高値=1.6038ドルを起点とし、これまでは長期的な下降チャネル内での推移を続けてきたことがわかります。現在は、この下降チャネルの下辺近くにまで下押しており、この下辺自体は数か月内にも1.0000ドルの水準に到達します。いわゆる「パリティ(等価)」と言われる水準で、市場関係者の多くがいずれは同水準に到達するとの見方を示しています。

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遅かれ早かれユーロドルが1.0000ドルの水準近辺にまで値を下げれば、そこは相当に強い下値支持になるものと見られます。もちろん、より長い目で見ればパリティを割り込む可能性もあるものと思われますが、やはり一旦は下げ渋りやすくなる水準であると考えておく必要があるでしょう。

次に、上図(右)で日足の推移を確認してみましょう。今年の年初(1月2日)を1つの起点と考えた場合、そこには中期的な下降チャネルの存在を見てとることができ、先週13日に一時1.0462ドルまで下押した時点では、ユーロ/ドルが同チャネルの下辺に一旦到達したと見ることができるように思われます。つまり、そこで一旦は下げ渋りやすくなる可能性があり、場合によっては一定のリバウンドが生じることもあり得るとの見方が浮上することとなります。

足下で生じているユーロドルの下げは、確かに過去最大級のものです。とはいえ、このように幾つかのチャネルを想定して、そのときどきの"水準感"といったようなものを確認してみれば、まったくあり得ない展開というわけではないということや、長い目で一段の下げ余地があり得るということ、とは言え目先は一旦下げ渋ってもおかしくはないといったことなどが感触として得られるのではないかと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役