あらためて言うまでもありませんが、外国為替相場の行方を考えるうえにおいて、株価は非常に重要な要素の一つです。実際、昨日(3日)の朝方にドル/円が一時120.26円まで上値を伸ばすこととなったのは、その前日(2日)に日経平均株価が一時18939円まで上昇し、さらに同日の米国市場においてNYダウ平均とS&P500種がともに終値で過去最高値を更新、NASDAQ総合指数も15年ぶりに終値での5000ポイント台乗せを達成したことが背景にありました。

ただ、足下では日米の株価がともに目先的な高値警戒感を強めている模様であり、昨日は日米の主要な株式指標がいずれも利益確定の売りに押さえられる格好となりました。結果としてドル/円は、昨日の午前中に日経平均株価がスルスルと値を下げる展開となったことに呼応する形で値を下げ、同日のNY時間帯には一時119.38円まで下押すこととなったのです。

下図に見るように、日経平均株価は昨年の12月初旬から今年の2月初旬にかけてダブルボトムの中段保ち合いパターンを形成し、2月12日にそのネックライン(昨年12月8日高値と12月29日高値を結ぶライン)を明確に上抜けて(ブレイクして)、そこから一気に19000円まであと一歩という水準に至る強い動きを続けることとなりました。

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セオリーでは、ダブルボトムが完成した場合、後の最初の上値目標となるのは「ダブルボトムが形成されている間の上下の値幅(上図中の矢印)と同じ値幅をブレイクポイント(ネックラインを上抜けたところ)から上方に取った値」とされています。その意味で、3月2日高値の18939円というのは、その最初の上値目標にピタリと一致する水準であり、目先的に上昇一服となりやすいところであったと見ることもできます。

ここで、一つ興味深い事実を確認しておきたいと思います。実のところ、日銀は2月12日から3月2日まで3週間近くもの間、一度もETF(上場投信)の買い入れを実施していなかったのです。1月に10回もの買入実績があったのに対して、2月はわずか4回の買入れに留まりました。その最大の要因は、2月の第2週以降に海外投資家による強烈な日本株買いが入ったことにあるものと考えられます。結果、日経平均株価がグングンと上昇を続け、その間は日銀の出る幕がなかったというわけです。

実際、海外投資家は2月の第2週に株式先物を7361億円と株式現物を158億円、2月の第3週に株式先物を9685億円と株式現物を1538億円も買い越していたことがわかっています。先物買いが中心ですから、比較的短い期間でポジションを解消する可能性も十分あるものと思われます。なにしろ規模が膨大ですから、それなりに強い売り圧力として働く(アンワインドの動きが生じる)場合もあるでしょう。

もちろん、しばらく出番のなかった日銀は相当な買い支え余力を温存していますから、下値は自ずと限られることと思われます。とはいえ、ひとたび日経平均株価が一時調整入りとなれば、少なくとも一旦は25日移動平均線(25日線)を試すような展開となってもおかしくはありません。仮にそうなった場合、やはりドル/円の上値はしばらく押さえられやすくなるものと思われます。当然、日々発表される米国の経済指標も重要ですが、当面の日米株価の動きにも一応は目配りしておきたいものです。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役