先週金曜日の欧米市場は、トルコ・リラの急落が嫌気され大幅安となった。トルコへのエクスポージャーの大きい欧州の銀行株が大きく下げ、ドイツDAX指数は約2%下落した。ダウ平均は200ドル近い下げだが率にすれば0.77%。日経平均に換算すれば170円程度だ。週明けの東京市場は、欧米株安を受けて市場心理が悪化し、寄り付きは売りが先行するだろう。しかし、日経平均はすでに金曜日に300円も下げていることから、一段と大きく売り込まれるとは考えにくい。

金曜日の300円安で日経平均は収斂していた25・75・200日の移動平均を割り込んでいる。しかし3月と7月の下落局面では200日線を割り込んだが、早期に回復した。今回も同様のパターンの回復になるだろう。金曜日の終値は一目均衡表の雲の直前で止まっている。雲の下限近辺(2万2100円前後)が下値の目途か。

今回新たな悪材料として浮上したトルコだが、そもそも日本にとっては関係ない話である(FXや投信でトルコ・リラが扱われており、個人投資家の一部には馴染みがあるが)。むしろ、グローバル投資家の目線では、地理的に遠い日本の優位性が高まるだろう。欧州の銀行をアンダーウェイトするなら邦銀を相対的に上げるなどというように。しかし、また一方でグローバルにマーケットはつながっているから、世界全体がリスクオフなら結果的に円が買われ、円高を嫌気して日本株が売られるという毎度のパターンだ。

金曜日に発表された米国のコアCPIは2.4%と2008年9月以来の高い伸びとなり、市場予想も上回った。本来、ドルの好材料だ。加えてFFRの結果もドル円の支援材料となるだろう。茂木経済再生担当相は会見で、生産的な議論ができたと述べ、9月をめどに次回会合を開くことを明らかにした。

日経新聞の見出しは「日米貿易協議、全面対立は回避」である。市場が懸念したような強硬的な会合にならなかった。以下、日経新聞から引用。<茂木氏はその後の記者会見で「日米は信頼関係に基づき協議を続けていく」と述べた。政府関係者は「この文言を入れた意味は米も分かっている。協議中は自動車関税上げなど信頼に背くことはしないということだ」と解説する。協議前には米国から「FTA交渉入りを拒否するなら自動車関税を引き上げる」と突きつけられる最悪の事態まで想定していた。ところが、自動車関税について日本政府からは「前進した」との声も漏れた。>

市場ではFFRを相当懸念していたところもあるだけに、予想外の穏当な結果にリスク回避ムードは後退するだろう。ヘッジ売りの買い戻しも起きると思われる。

ドル円は110円台の半ばまで円高になったが、その後戻してNYのクロージングは110円台後半。75日線でぴたっと止まっている。FFRの結果を映してドル円がさらに戻すようだと、株式相場でも押し目買いが強まるだろう。

お盆休みのシーズンで市場参加者が少なく薄商いで値が飛びやすい懸念はあるものの、「閑散に売りなし」でもあり、下値は限定的と思われる。今週の予想レンジは、2万2100円~2万2700円とする。