先週(11月4日週)の振り返り=トランプ氏勝利を受けて155円近くまで米ドル一段高

米金利が急騰するも、週後半の米ドル/円は一時152円割れ近くまで反落

先週は、注目された米大統領選挙で共和党のトランプ氏の勝利が決まると、米金利が急騰し、米ドル/円もそれに連れる形で一気に155円に迫る一段高となりました(図表1参照)。ただし、週後半は一時152円割れ近くまで反落となりました。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2024年9月~)
出所:マネックストレーダーFX

このような米ドル/円の動きは、基本的には日米金利差に沿ったものでした(図表2参照)。つまり、トランプ氏の勝利決定後に米ドル一段高となったのは、上述のように米金利が急騰したことに連れたものであり、その米金利が週後半に上げ幅を縮小すると、米ドルも反落となったのです。

【図表2】米ドル/円と日米10年債利回り差(2024年7月~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

トランプ氏の勝利決定後の米金利急騰は一時的

トランプ氏の勝利決定後米金利が急騰したのは、大型減税や関税の引き上げというトランプ氏の主な選挙公約が金利上昇をもたらす可能性の高いものということがあったでしょう。ただ米金利急騰は、先週(11月4日週)の段階ではすぐに一巡となりました。この背景には、インフレを再燃させる懸念のある選挙公約を、トランプ氏も急いで進めると考えるのは現実的ではないとの見方もあったかもしれません。

そうであれば、米金利も当面の天井を打った可能性も注目されそうです。米10年債利回りは、一時3.6%程度まで低下した中で52週MA(移動平均線)を大きく割り込みました(図表3参照)。これは、複数年続く金利低下、つまり金利低下トレンドへ転換した可能性を示すもので、それと逆行する金利上昇は一時的、限定的にとどまる可能性が高いでしょう。

【図表3】米10年債利回りと52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

このような米金利の考え方は、米ドル/円にも当てはまり、一時52週MAを大きく割り込み、下落トレンドへ転換した可能性が高まりました(図表4参照)。したがって、それと逆行する上昇は一時的、限定的にとどまる可能性もあったわけです。

【図表4】米ドル/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

一時的、もしくは限定的な米ドル/円の上昇は、普通なら足下で150円程度の52週MAを大きく、長く越えない程度にとどまるものでした。上述のようにトランプ勝利を受けた米金利上昇が終了したのであれば、米ドル/円の上昇も先週(11月4日週)までで終わった可能性が注目されるでしょう。

今週(11月11日週)の注目点=米ドル買いポジションの損益確定売りの拡大は?

過去2年のように米ドル/円が下落に向かう可能性

仮に米ドル/円の反発が先週(11月4日週)で終了したとして、逆に下落に向かう可能性はあるでしょうか。過去2年は、11月中旬頃から年末に向けて米ドル/円は比較的大きく下落しましたが、この2024年はどうか。

過去2年連続で、米ドル/円が年末に向けて下落が拡大したのは、短期売買を行う投機筋が年末にかけて米ドル買い・円売りポジションの損益確定の動きを本格化させた影響が大きかったと考えられます。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、11月5日(火)現在で売り越し(米ドル買い越し)が4.4万枚に拡大しました(図表5参照)。これは過去2年の同じ頃に比べると必ずしも大きなものではありません。ただし、2024年は夏に米ドル/円が暴落したことから、投機筋は利益を増やしにくかったと考えられます。その意味では、過去2年以上に損益の確定には過敏になり、米ドル買い・円売りポジションの手仕舞いが、米ドル安・円高をもたらす可能性は注目されるでしょう。

【図表5】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年~)
出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

11月の米ドル/円は、150~155円と想定

先週(11月4日週)で米ドル/円の反発が終了したと考えることから、今週(11月11日週)の米ドル/円の予想レンジ上限は155円とします。一方で下限は、先週の安値の151.2円を割れるようなら米ドル買いポジションの手仕舞い売りが拡大する可能性があることから150円とします。以上から、今週の米ドル/円の予想レンジは150~155円で想定したいと思います。