日経平均株価は好決算を受けて2万2000円台後半を固める動きから、2万3000円台回復は一気にはいかず大台手前で一旦足踏みとこれまでは想定通りの展開となっている。それでも日経平均は先週1週間で約170円の上昇となり、週足では8週連続で陽線を形成した。派手さはないが非常にしっかりした相場つきである。今週は満を持して2万3000円の大台回復を試しにいくかが焦点となる。

この2万3000円というのは特別な意味を持つ。昨年、史上初となる16日連騰という記録まで作った秋の大相場から年末の大納会まで日経平均は「2万3000円の壁」に頭を抑えられ、一度も2万3000円を終値で超えることはなかった。それが、年が改まると大発会の寄り付きから2万3000円を超えてきた。大発会当日一気に700円超上げて、新年3日続伸で1000円も上げたのである。重たかった節目を抜けたら速いという典型例だ。

8週連続週足陽線となると騰落レシオやRSIなど一部のテクニカル指標には短期的な過熱感が見られるものの、大きく棒上げした日がないため25日線のトレンドに沿ったマイルドな上昇になっている。25日線乖離率は2.6%。警戒水準の 5%乖離まで余裕がある。1月高値からの下げ幅に対するフィボナッチ比率61.8%戻しを達成し2月5日~6日に空けた窓埋めは達成済み。今度はフィボナッチ比率の次の節目である76.4%に当たる2万3236円を目指す展開か。そうすれば2月2日~5日に空けた窓も埋めきることになる。

2万3000円回復の要件は、米国金利上昇を背景としたドル高円安と、金利上昇でも米国株が崩れず安定を保つことだろう。国内では決算発表が終了し材料不足なだけに今週は一段と金利・為替・米国株といった外部環境次第という面が強い。

今週の経済指標は日本では21日に4月の貿易収支が発表される。先週発表された1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、9四半期ぶりにマイナス成長となったが、その要因のひとつが輸出の伸びの鈍化であった。4月以降は世界景気も復調の兆しがあるなか、日本の輸出も再加速するか注目される。

ユーロ圏では23日に5月マークイット総合PMIが発表される。4月は3ヶ月連続で低下し、2017年1月以来の低水準だった。ドイツでは25日に5月のIfo企業景況感指数が発表される。前月は4月分から採用された新しい集計方法に基づくと指数低下は5ヶ月連続となった。ユーロ圏景気の減速が一段と顕著となっている。

米国の注目は23日に発表されるFOMC議事録 (5/1-2日開催分)。前回の声明文で特に注目されたのは「symmetric 2 percent objective(対称的な2%目標)」というワーディングであった。インフレ目標がこれまでの2%ターゲットからレンジ・ターゲットへと変更される可能性があることが示唆されたわけだが、その点をより詳しく理解するヒントが議事録から得られるか。今週は週初のボスティック・アトランタ連銀総裁に始まり、24日にダドリー・ニューヨーク連銀総裁、25日にパウエルFRB議長と連銀高官の講演が相次ぐが併せて注目したい。

それ以外の材料では23日-25日に実施すると表明している北朝鮮の核実験場廃棄や安倍首相のロシア訪問などにも配慮したい。米中通商協議や米朝首脳会談に対する不透明感が相場の重石となる可能性もある。

日経平均の予想レンジは2万2600~2万3300円とする。