今週の焦点は日経平均が2万4000円の大台を瞬間的にもつけるかどうかである。ふつうに考えれば、先週わずか2日で950円近く急騰しただけに、その反動で下げるという想定が一般的なシナリオだろう。しかし、大発会での700円超の急騰の翌日、後場から上げ幅を拡大し200円超の上昇で引けた相場をみれば、相当需給は改善していると考えられる。短期急騰を受けて利益確定売りを出すなら、先週金曜日に売ったであろう。その売りは金曜日の前場でこなしてしまったということだ。連日ほぼ高値引けというのは、先高期待が強いことの表れでもあるが、そもそも売り圧力が強くないのだ。あれほど強力に上値を抑えられていた2万3000円の大台をあっさり抜いた。重たかった壁を抜けたことで上昇に勢いがついている。2万3000円の攻防の過程で、売り玉の整理が進んだことに加えて、2万3000円を抜けないと見てオプションなどを売っていた向きが一気にひっくり返されて踏み上げ相場になった。新年早々、痛い目にあっただけに、そういうトレードはしばらく自重されるだろう。それも目先は上値が重くならない要因のひとつだ。

加えて、雇用統計を受けた米国株相場の反応から、市場参加者はリスクオンにかなり傾いていることがわかる。5日の米国株式相場は4日続伸。ダウ平均は220ドル高の2万5295ドルと3日続けて過去最高値を更新した。雇用統計の非農業部門の雇用者数は前月比14万8000人増と19万人程度の増加を見込んでいた市場予想を下回った。これも通常なら「ネガティブ・サプライズ」となって株売り・円高という市場の反応がみられてもおかしくないところだった。もっとも11月分は上方修正され均せば労働市場は安定的に雇用が伸びている。平均時給は前年同月比2.5%上昇と市場予想並みだったが、かえってFEDの利上げペースを加速させないと市場は好感した。雇用は堅調だが利上げは緩やかという、「いいとこどり」の解釈が市場のメインストリームになった。当然のように株は買われた。本稿執筆現在、週明け月曜日の米国市場の動向は未知だが、基本的に今週の東京市場も先週のリスクオン地合いを引き継いでいくものと考える。

ダウ平均は初めて2万4000ドル台に乗せた昨年11月30日から2万5000ドル超えまでかかった日数はわずか23営業日。1000ドル上げに要した日数としては過去最短だ。しかし、もし日経平均が今週に2万4000円台に乗せれば、2万3000円をつけてから1000円上げに要する日数は、わずか数日ということになる。ダウ平均と日経平均のスピード競争が始まる予感がする。年内のどこかで両指数は並び、そしてともに3万の大台を目指すものと予想する。

今週のレンジは2万3500円~2万4200円としたい。