今週の基本シナリオは調整局面を想定している。先週末の日経平均は3日続落で終えた。3日連続で下げるのは、9月初旬以来、約2カ月ぶりだ。日経平均は最長記録となる16営業日続伸の起点となった10月初日以来、一度も5日移動平均を下回ることなく上げてきたが、先週金曜日に5日線を下回って引けた。これらのことは、ひと相場終えたシグナルと受け取れる。
先週の相場はバブル崩壊後高値を上回り25年ぶりの高値をつけたり、売買代金が5兆円近くに膨らむなかでの乱高下など象徴的なことが多かった。株高の背景である好業績に関しても日米ともに決算発表が佳境を過ぎて材料が減ってくる。
海外情勢も不透明感が強い。サウジアラビアとイランの対立が激化し中東での地政学リスクに対する警戒感が台頭している。米国では与党共和党上院指導部が公表した税制改革法案が波紋を呼んでいる。既に審議中の下院案が法人税率を現行の35%から20%に引き下げる時期を「2018年から」とするのに対し、上院案は1年先送りの「19年から」に設定した。
単に実施時期だけでなく上院案と下院案では詳細が異なる。これをすり合わせるのはかなりの時間がかかるだろう。税制改革の行方次第では高値圏にある米国株の大幅調整もあり得る。そうなった場合はリスクオフ・ムードが強まり、日本株相場も逆風を受けることになるのは避けられない。
好材料の期待がかかるのは15日に発表される日本の7-9月期GDP成長率(1次速報値)だ。4-6月期に弱含んだ外需が復調し、7四半期連続のプラス成長が予想されており、市場センチメントを明るくするかもしれない。
海外の経済指標を確認しておこう。ユーロ圏でも14日に7-9月期の実質GDP成長率(速報値)が発表される。このところユーロ経済の回復が鮮明になっており注目される。米国では15日の10月消費者物価指数、翌16日の10月鉱工業生産指数の発表などに市場の関心が向かうだろう。
日本株相場は9月上旬からこの2か月で先週の高値まで見れば4000円余り上げた。過熱感があるのも確かなので、ここで調整するのが健全ではないか。逆に、5日線をすぐに奪回してくるようだと、本当に押し目待ちに押し目なしの強い相場の証になるが、それはサブ・シナリオとしておこう。
下値は、節目の2万2500円を下回る場面もあるだろう。上値は、やはり節目の2万3000円に乗せて終わることができるかが焦点となろう。基本シナリオはその間のレンジ相場と見る。