前回(12月10日)更新分の本欄では、ドル/円について「目先は一目均衡表(日足)の転換線と11月3日以降に形成された上昇チャネルの下限(サポートライン)を終値ベースで下抜けるかどうかに注目」と述べました。そして同日(10日)、ドル/円はこれらの節目を終値で下抜けることとなりました。

以降は数日間、日足の基準線が下値サポート役として機能することとなりましたが、今週に入ってからはその基準線をも下抜け、昨日(16日)は一時115.57円まで下値を切り下げる場面もありました。つまり、下図で言いますと「10月1日高値とその後の高値を結んだライン」と「10月15日安値とその後の安値を結んだライン」とで形成される中期上昇チャネルの下限まで一旦は到達したことになります。

ちなみに、昨日安値の115.57円は10月15日安値から12月8日高値までの上昇幅に対する38.2%押しの水準に近く、総合的に判断してここは一旦下げ渋りやすいところということになるでしょう。換言すれば、ここは押し目買いの好機となる可能性がある水準ということにもなるものと思われます。とはいえ、執筆時は16-17日の日程で行われている米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果がまだ判明しておらず、まずはその結果内容をしっかり確認したいというところもあるでしょう。

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周知の通り、今回のFOMCについて市場は声明文のなかから「相当の期間」という文言が削除され、「辛抱強く」などといった表現に置き換えられる可能性が高いとの見方を強めていました。しかし、このところはロシアのルーブルが乱高下するなど金融市場が全体に波乱含みとなっており、そうしたことにFRBが配慮して声明文の表現を据え置く可能性も浮上してきています。

昨日はNY原油先物が5営業日ぶりに反発し、ロシアのルーブルも対ドルで一旦は下げ渋る動きとなっています。とりあえずホッと一息といったところではありますが、いまだボラティリティーの高い状態は続いており、依然として油断ができない状況であることも事実です。ドル/円に押し目買いを入れたい思いが強まるところではありますが、もう少し原油価格やロシアのルーブルをはじめとする新興国通貨の行方、チャート上におけるドル/円の表情の変化などを慎重に見定めるのが賢明ということになるでしょう。

なお、あらためて上図を見てみると、日足の遅行線が日々線のすぐ近く(上方)まで下りてきていることもわかります。この遅行線が日々線を明確に下抜けるような展開になった場合は、もう一段下値余地が拡がる可能性も生じてくるものと見られます。

それでも、今後は日足の「雲」が水準をグンと切り上げてくることがわかっており、10月の調整局面でもそうであったように、この「雲」が下値サポート役として機能することを前提とすれば、今後の調整余地は自ずと限られてくると見ることもできます。当面は少し時間をかけながら押し目買いのチャンスをじっくりうかがいたいところです。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役