周知の通り、このほど石油輸出極機構(OPEC)が原油の減産を見送ったことで、原油の国際価格が軒並み大幅に下落する状況となっています。原油価格の下落は、実に様々な方面に大きな影響をもたらしており、当然のことながら、その影響は外国為替相場や日米の株式相場などにも及んでいます。

まず、原油価格が下落するとガソリン価格の下落を通じて米国の景気にプラスの効果がもたらされるため、それが米ドルの強みにつながりやすくなります。もちろん、原油安によるエネルギーコストの低下は、日本国内の企業収益を押し上げることにもつながり、将来的な収益上振れ期待から日経平均株価の上昇も後押しする格好となります。

また、原油価格が大幅に下落していることで、世界に溢れる過剰なマネーが商品相場から抜け出し、主要国の国債を買い上げることで世界的な低金利状態が生じます。この低金利状態が主要国の株価に好影響をもたらしやすいことは言うまでもなく、ことに米国の長期金利が依然として低水準に留まっていることから、目下の米株価が史上最高値水準で高止まりしていることにもつながっているわけです。

そんな米国の長期金利も、いずれは景気の本格的な回復に伴って、その水準を切り上げてくることが想定されます。昨今のマネーの動きから察すると、その上昇ペースはそれなりに急なものとなる可能性もあるでしょう。もちろん、それに相前後してFRBによる利上げがいよいよ現実味を帯びてくるようにもなるものと考えられます。

下図は、04年から06年にかけてFRBが連続利上げを実施した当時のNYダウ平均の推移を示したものです。当時の状況から明らかになってくるのは、まず実際に利上げがスタートする3~4カ月前までNYダウ平均は順調に上値を切り上げていた(この時期はまだ利上げの現実味が乏しいのでしょう)ということで、どうやら利上げが現実味を帯びてくる時期というのは、かなりそのタイミングが迫ってきてからになるということです。

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また、いよいよ利上げが現実味を帯びてくるようになると一旦は株価が調整含みになるということも、この図からあらためて確認することができます。この株価調整は最初の利上げ実施以降も4~5カ月ほど続き、後に一段の景気拡大を確認しながら徐々に上値追いの展開へと転じて行ったことがわかります。

ちなみに04年当時、NYダウ平均が一時的な調整局面を迎えると、それに歩調を合わせるように日経平均株価も一定の調整を余儀なくされていたことが過去の価格推移から確認できます。そして、その当時は同時にドル/円も下落基調を辿っており、後に底入れから反発に転じたのは05年1月以降であったこともわかっています。

今、市場関係者の多くがFRBによる最初の利上げ実施の時期を「2015年の半ばあたり」と想定しているのはご承知の通りです。そうであるとするならば、いましばらく日米の株価は高止まり(あるいは上値追い)の状態を続ける可能性があり、それに伴ってドル/円がもう一段の上値を試す可能性もあるということになるでしょう。04年当時と多少状況が異なるとはいえ、米利上げと日米株価、ドル/円との基本的な相関関係については、当時の状況が大いに参考になるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役