先週の日経平均は、3/29付けストラテジーレポート「年度末の波乱に注意」で述べた通り、30日、31日と2日連続で午後から下げ足を速め、陰線を引いた。特に31日は19,000円の大台を割り込んだだけでなく、一目均衡表の雲の下に抜け、嫌な引け味で年度末を迎えることとなった。
名実ともに新年度相場となる今週は、先週の嫌な流れを断ち切ってほしいところだが、先週末の米国株安と円高を受けて軟調な出足となりそうだ。但し、先週末の下げは年度末固有の特殊な動きととらえれば、19,000円割れを見て押し目買いが入るかもしれない。夜間取引の先物が売られていないのも安心材料だ。
今週は月初及び四半期初につき重要な経済指標の発表が目白押し。先陣を切って3日には3月の全国企業短期経済観測調査(短観)が発表される。市場の予想では大企業製造業の景況感は2期連続で改善する見通しだ。「良い」から「悪い」を差し引いた業況判断指数(DI)はプラス14と、前回12月調査に比べ4ポイント上向く。 世界経済の復調を受けて製造業中心に景況感の改善が見込まれる。但し、先行きについては、製造業、非製造業ともに企業の慎重さを反映してやや低下するとの観測がある。 大企業製造業は3カ月後の先行きを示すDIは今回より1ポイントの悪化が見込まれている。足元の改善と先行きの低下で結局、相殺され相場への影響は限定的だろう。短観では2017年度の設備投資計画に注目したい。
米国では3日にISM製造業景況指数、5日にISM非製造業景況指数が発表される。また5日にFOMC議事録(3/14-15日開催分)が公表される。いずれも重要イベントだがもっとも重要な3月の雇用統計の発表が7日に控える。ポイントは平均時給。12月に前年比2.9%まで上昇したあと1月に低下したが2月は再び2.8%まで高まってきている。この水準から一段と上昇が加速すれば6月の追加利上げの確率が高まる可能性もあり注目される。
経済指標以外の相場材料としてはトランプ政権の動向だろう。医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の撤回で、トランプ政権の力量に対する懐疑的な見方が高まっている。相次ぐ内政での失策を挽回しようと通商政策で強硬な構えを見せる可能性もある。トランプ大統領は貿易赤字の削減をめざす大統領令を正式に発令した。 また6~7日に初の米中首脳会談にのぞむ。4月中旬には日米経済対話の第1回会合も予定されている。当面はトランプ政権の対外政策に市場の目が注がれることになる。
今週の日経平均の下値は26週移動平均の18,600円台までみておけばじゅうぶんではないか。1月18日ザラバ安値(18,650円)のあたりでもある。上値は頭を抑えられてきた75日移動平均線の19,200円前後だろう。
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆