日本はFar East、極東にあります。この日本が極東にあるという定め(?)を、マーケットの中にいるとよく感じます。例えば今回のテロに続く市場の反応。ヨーロッパ時間の金曜日の深夜に起きた事件なので、その後最初に開くマーケットが、東京の株式市場となりました。もちろんニュージーランドとかオーストラリアもあるのですが、規模から云って意味のあるマーケットとしては日本の株式市場が最初のマーケットでした。果たしてどうなったか。

日本の株式市場は売られ、リスク回避の連想でドル円も円高に振れました。その後ヨーロッパ市場が開いてくると、マーケットは冷静さを取り戻し始め、朝方一旦は売られたものの、その幅は日本株式より狭く、かつ徐々に買い戻されて、ドイツ市場はプラスで引けて、テロの発生地であるフランスも小幅安で終わりました。アメリカ市場にもこの流れは続いて、アメリカ株は大幅上昇、ドル円でのドルも買い戻されて、その結果今日の日本市場は円安、そして株式は昨日の売られ幅を超える大幅高となりました。

テロに対する投資家の反応が、日本、欧州、アメリカで違うという見方も出来ますが、投資家はグローバルに活動しているし、主要な株式市場にはグローバルな投資家が参加していますから、この日本市場の最初の反応は、日本の投資家の傾向の部分もあるでしょうが、多くは日本市場が極東にあり、"最初に開くマーケットである"ことから発生する傾向である部分の方が大きいと考えるのが妥当でしょう。先ずは影響の大きさが分からないからポジションを減らす、リスクを減らす。だから日本株は売られ、円はドルに対して買われる。そして時間と共に、大概はそのリスクの見積もりが大き過ぎるので、元に戻っていく。
マーケットは常に24時間繋がっているようで、実は週末に切れ目がある。そして日本はその切れ目の後の最初のマーケットである。当たり前のことですが、そんなことを再認識しました。そしてマーケットを見ていく上で、"リスク管理"が恐らく史上もっとも強化されている今日に於いては、この傾向は強く表れると思うのでした。