マーケットの変動が止まりません。まるでタガが外れたように株価は簡単にあっちこっちに動いています。正に、タガが外れたのでしょう。タガとは、おけの周りに嵌める竹や金属で作った輪のことですが、マーケットにもタガはあります。この程度のPERが妥当だろうとか、景気はこんなもんだろうとか、一般にコンセンサスと云われるものですが、私は"共同幻想"と云った方が正しいと思っています。
PERは会社の利益の何年分が時価総額になるかと云うもので、理論的に何年と決められるものではありませんが、皆でこの辺りで値を付けようと共同で信じ合うのです。景気も気からと云います。皆が共同で良くなると思えば消費・投資も進んで実際に良くなるし、逆もまた真なりです。PERも景気の見通しも、お互いの共同の信頼の上に成り立っているので、固い時はとても固いですが、もろい時はとてももろくなります。
この、皆で信じれば恐くない的な共同幻想と云うタガの中で、マーケットは通常成り立っているのですが、お互いに疑心暗鬼になると、このタガが外れて、マーケットはぶらぶらと彷徨うことになります。今がその状態です。一旦家出をした彷徨える人が居場所を見つけるのに一般に時間が掛かるように、マーケットも一旦タガが外れると、新たなタガ=共同幻想を求めてふらふらとします。これが新しい共同幻想だ!と或る時或る人が思っても、次の日には新説が唱えられたりします。そう云ったことが暫く続いて、やがて落ち着くところに落ち着きます。
彷徨える共同幻想を対象に、トレーディングをするにはいい時期です。この場合のトレーディングは、相場観ではなく、リスク管理をしっかりとしながら、ボラティリティの波の合間で運動神経よろしく売り買いするだけです。新しい共同幻想が認識されるまでは、経済の中長期的な膨張を対象に株式投資をする、と云う考え方はあまり意味をなしません。新しい共同幻想の中で、投資ポジションを再構築すべきです。長い目で見れば、このような波、共同幻想の見直しは定期的に行われ、信頼度が下がったり上がったりしますから、最初からそう云うものだと割り切り、長期的なドルコスト平均法で投資をするなら、それはまた格別です。
波に揉まれて翻弄されるのではなく、波を眺めることが大切ですね。