シンガポール取引所(SGX)が恐ろしく速い取引所システムを導入すると云っています。時期は8月。速さは、基本的にはハードウェアの速さそのものと云うか、ソフトウェア(プログラム)による遅れが一切ないような、そんなレベルの速さを実現するとのことです。もちろん実際にどうなるかは動き始めてみないと分かりませんが、かなり恐ろしく速いことには違いないでしょう。

SGXは1時間半の昼休みを撤廃することも発表したばかりです(3月から)。香港の財閥リ・カシンの率いるハチソンのIPOも、香港取引所ではなくSGXで行われることも発表されました。SGXはオーストラリア証券取引所(ASX)の買収もしようとしています。シンガポールとオーストラリアはTPPにも参加してますので、もしこのSGX+ASXと云うのが出来ると、将来手強い取引所になるでしょう。いや、このM&Aが成就しなくても、SGXは勝つためにあらゆる手を打っているように見えます。

では取引所にとって一番大切なものはなんでしょう?速さか?便利性か?連携か?取引所にとって、全てのマーケットにとって一番大切なもの、それは流動性だと思います。流動性がなければ、どんなに速いシステムでも存在価値がありません。流動性のない株は、そもそもその価値の一部が大きく欠けていると云わざるを得ません。連携があろうがなかろうが、流動性があるかないかが一番大切です。逆に、全ての施策、速いシステムも取引時間の変更も連携も、全ては流動性を向上させるためにあると云っても過言ではないでしょう。マーケットは流動性が命です。

日本の取引所が、或いは金融行政・監督関係者が、そして市場参加者が、もっとも取り組まなければいけないことは、サービスの充実よりも何よりも、とにかく流動性を上げるための施策を考え実行することだと思います。もちろんサービスの充実等は流動性に向上のために行ってることだとは思うのですが。日本市場の流動性の向上に向けて、関係者全員で集まって、ちゃんとした目標のために、あくまでも全体の目標のために、まともな議論をしたいなと、SGXの動きを見てそう思うのでした。