先日、30年以上も前の理化学部の同級生に会いました。彼とは何年か前に家の近くの駅でバッタリ会ったことがありますがそれ以来でしょうか。私は科学系小僧だったので、小学校の時も機械部の先輩がどこで手に入れたかスーパーカブを分解していたのを、とにかく羨望の眼差しで見ていました。

その頃は家にあるラジオや扇風機、機械と名の付くものは何でもすぐ分解してしまい、時には電源コードをコンセントに入れたままうっかりペンチでコードを切ろうとして、パーンと云う大きな音とショックと共にペンチの歯が欠けて腰を抜かしたり、試しにドライバーをコンセントに突っ込んで全身ぶるぶる震えたり、或いは分解したものを元に戻せなくて怒られてぷるぷるしたり、とにかく驚くことの多い少年時代でした。

中学に入ると理化学部なるものに入ったのですが1年足らずしかおらず、中二は某運動部、これも1年しか続かず、中3は部活はせず、高校に行って友人に頼まれて写真部に入り、これはちょっと変わった意味で色々あったのですが、その話はまたいずれします。

中1の理化学部の思い出は鮮明で、古い高校校舎の裏とグラウンドの壁の間に挟まれた、知る人しか知らない怪しげな谷の中に、一戸建ての、ボロボロの理化学部室はありました。棚には様々な薬品の瓶が。そしてフラスコやらビーカーやらランプやら、これまた様々な実験器具が古い木机の上に置いてありました。部室ごと化学反応を起こして爆発しないのが不思議なような、雑然とした危険な空間でした。

先日会った彼は理化学一族のエリートで、そんな怪しい場所に似つかわしくない理路整然さで、中1の時から何やら難しい理論を話したり複雑な化学式を書いていて、東京の学校は凄いなぁと思ったものです。理化学部室の外、グラウンドの壁の脇には冷水器が置いてありました。何処で拾ってきたのか、ペダルを踏むとちゃんと冷水が出たので電気も引いていた訳ですが、そんな場所になんであんなものがあったのか、全くの謎です。この友人はこの冷水器を利用して後日とんでもないものを精製したのですが・・・。そんな昔にフラッシュバックしました。部室の臭いも思い出した気がしました。記憶とは不思議なものですね。