昨晩、アート系の小さなイベントに課外活動として参加しました。我が国においてどうやったらアートをもっと栄えさせることが出来るか、そのためにはどうしたらもっとアーチストもアート関係者もきちんと生計を立てていけるか、そんなことに関するアイデアなどを話しました。この問題は、我々が大好きな株式市場などのマーケットの問題と共通する点があります。
ニューヨークやパリには美味しい天ぷら屋さんは存在しません。東京では超一流の天ぷら屋さんは油を一晩かせいぜい数晩しか使わず、すぐに1.5流ぐらいの天ぷら屋さんに転売すると云います。そしてそこで数晩使われた油が町のトンカツ屋さんに転売され、そういったメカニズムを通して、超高級な油が、いつでもそれなりのコストで使われるようになっているのです。この話は脚色があるかも知れません。しかしコンセプトは大きくずれていないでしょう。ですからたった一軒の超高級天ぷら屋さんは、ニューヨークやパリには存在し得ないのです。一軍チームだけの強いプロスポーツチームを作れないことにも似ています。
そしてこのピラミッド型の仕組みは、マーケットの仕組みと全く同一です。広い裾野や中間層がなければ、高い品質のものを作り続けることは不可能です。アートも同様。国立美術館が高い作品を買っているだけでは、アーチストの世界は広がっていきませんし、成り立ちません。タダで、或いは安い値段でアートを見ている、好きなだけでは、アーチストもキュレーターも減っていき、いつか我が国のアートはへたれます。国全体が抱える、財政問題などともどっか似ていて、他人事だと思っていたり、自分一人ではどうしようも出来ないと思っていると、いつか自分も含めた全ての基盤が崩壊していってしまう可能性があるのです。
マネックスのアート・イン・ザ・オフィス(AIO)は、この問題を解決するために行っているものではありません。AIOはあまりにも小さくて、そしてマネックス独自の、基本的にマネックスのために行っている、独立した行動です。しかし、たかが小さなひとつ、されどひとつ。今年もAIOに多くの素晴らしい企画が、作品が応募されることを期待しています。AIO2010の詳細はこちらです
→ http://a-i-t.net/modules/bulletin/article.php?storyid=126
ところで、今北京にいます。さっき着陸しました。羽田から乗ったエア・チャイナは、離陸前・着陸後になんとスタン・ゲッツのボサノバを流していました。なんか妙な感じ。でも明るくていいや。明日は株価が上がりますように♪