金融サミットが終わりました。全世界的な規制強化の大号令です。規制の緩い中での節度ない過剰投資が大きなバブルを作り、それが一気に崩れて世界の金融システムを根底から揺るがした(揺るがしている)訳ですから、まぁ仕方ないと云えば仕方ないのかも知れません。しかし私はこの流れは、大いに懸念しています。金融市場や金融ビジネスの管理の仕方を、市場放任型・厳格規制型とふたつのステレオタイプに区分することには無理がありますが、さはさりながら、概ね規制緩和型と規制強化型と云うスペクトラム上に分類することは可能でしょう。
規制緩和型には確かに限界も欠陥もあります。それがまさに今問題になっている訳ですが、ひとつ決して忘れてはいけないことは、規制緩和型の限界も欠陥も、規制強化型にも限界や欠陥があるのと同様に存在していると云うことです。もちろん限界の場所も、欠陥の形も違います。しかし片方が完全で、もう片方が不完全と云う問題ではないのです。どちらも不完全なのです。今回のように規制緩和型の時期に問題が起きると、当然の反動として規制強化型に向かいます。それは既に云ったように、致し方ないことだとは思います。
しかし長い目で考えると、いずれにしろ不完全な訳ですから、コストをなるべく下げ、公平さをなるべく担保することが、国益、或いは今回のケースでは世界経済の益に繋がると思います。規制を強化すると、その規制を実行・担保するために、厖大な監視・制御系の人員が必要になります。当然この人たちは、生産セクターには属しません。規制を強化すると、様々な判断によって、政府などがいいものと悪いものを区別するようになります。そこに不公平が生じやすくなり、利権構造も生まれやすくなります。これらのことは、長い目で見た経済の発展を、必ず阻害して来ると思います。
ですから、規制強化は致し方ないとしても、やり過ぎないこと、そして立法措置等をする時には、なるべく(出来れば必ず)時限立法とすることが肝要だと思います。アメリカは民主党政権にもなることですし、この点については、呉々も注意して欲しいものだと思っています。