日本の投資家も随分成長したものです。御存知のように東証が朝からダウンして、午後1時半までマーケットが開きませんでした。このこと自体には、色々と言いたいこともあります。しかしそれ以上に、90分だけ開いたマーケットの中身に私は注目しています。

午後1時半、どんなマーケットの開き方をするか私はドキドキしながら見入ったのですが、しっかりとした流動性を伴って、かつ元気良く上向きに始まりました。NYも含めた昨日からの流れだと、マーケットは上向きではあった訳ですが、「システム・トラブル」などと言うと「嫌気」が差して売られたりするものです。「嫌気」と言うような意味のないネガティブなセンチメントは、市場にとっては大変良くありません。そして日本の株式市場は、この後ろ向きな性格に何度も痛められてきました。

今日、マーケットが開く直前、或る外国人の一団とミーティングをしていた私は、「日本の市場は、今朝のトラブルを忘れることができる能力があるか否かが試される」と言ったのですが、蓋を開けてみると見事な脳天気ぶりでした。1時間半、即ち普段の3分の1だけの立合いで、東証一部で18億株、2兆円弱の商い、日経平均は年初来高値を更新したのです。

「今朝のトラブルを忘れる能力」というのは言葉の綾で、もちろん忘れてはいけません。しっかりと今朝のトラブルについては検証し、今後のマーケット全体の体制も考えていくべきでしょう。しかし東証のシステムと企業時価総額には直接の関係がないこと−これは当然のことですが−を理解し、マーケットの参加者が冷静に対応出来たことに、私は感動というと大袈裟ですが、ちょっと嬉しく思いました。