先週の中国株ですが、上海総合指数は続落、深セン総合指数、創業板指数、香港ハンセン指数は反落と揃って冴えない展開となりました。上海総合指数ですが週初は先週の流れを引き継ぎ5日続伸と好調なスタートだったのですが、1月27日(火)に1-12月の中国の工業セクターの企業利益(前年同期比の伸び率)が3.3%増と1-11月実績の+5.3%を大幅に下回ると、一転して下落基調に。ちなみに中国の工業セクターの企業利益は12月単月では8.0%減となり、11月の4.2%減少から大きく減少幅を拡大しており、2011年10月以来の減益幅となっています。やはり不動産市況低迷と過剰生産能力が重しとなっている様子です。

27日(火)はこれに加え、当局がレバレッジ規制をさらに強化するのではないかとの懸念が広がりました。そして実際のところ、29日(木)には中国証券監督管理委員会(CSRC)が証券会社46社の信用取引業務を調査するとの新華社の報道から下げ幅を拡大しました。CSRCは調査が定期的なものであるとコメントしましたが、信用取引残高が高水準で推移していることや、2月は1月よりも多くのIPOが予定されていること、2月1日(日)に発表される1月の中国公式製造業景況感指数なども意識され1月30日(金)も続落となり、結局27日(火)から4日続落。ちなみに1月の中国公式製造業景況感指数は49.8と、12月実績の50.1や市場平均予想である50.2を下回り、2012年10月以来、初めて景況感の境目である50を割り込みました。

香港株も中国の経済指標悪化やCSRCの取り締まり懸念から香港H株が大きく売り込まれ、中国本土株と同じような軟調な展開となりました。特に香港株にはデフォルト(債務不履行)をおこし、12月29日以来、売買停止が続いている佳兆業集団(01638)が上場していることもあり、中国経済悪化に伴うニュースには敏感に反応しているように思います。なお、今後の経済指標の発表スケジュールですが2月2日(月)に1月のHSBC中国製造業景況感指数(確報値)が、2月4日(水)に1月のHSBC中国サービス業景況感指数が、2月8日(日)に1月の中国の輸出(前年比)がぞれぞれ発表される予定です。

コラム執筆:戸松信博