米国の利上げと長期金利が重石に、10月は「南向き資金の復帰」と「政策会議」が焦点

9月の中国株は、上海総合指数は反落、香港ハンセン指数は続落となりました。

香港ハンセン指数は9月に953ポイント(3.73%)下落した一方、7~9月期では1,732ポイント(7.57%)上昇し、年初からの9ヶ月では1,017ポイント(3.97%)の下落となりました。

上海総合指数も3,842ポイントで9月を終え、月間で3.62%下落。前回の当欄「【中国株】8月は一転「上海高・香港安」:明暗逆転の理由と9月の注目点」にて、9月は「米FOMC(連邦公開市場委員会)と中国の政策発動タイミング」という2つの外部要因が方向を決めると書きましたが、結果は前者が重石となる展開でした。

香港:米国の3年ぶり利上げと「金利に弱いハイテク株」

香港ハンセン指数が下落した最大の要因は、米国の金利上昇です。9月16日、FRB(米連邦準備制度理事会)は政策金利を0.25%引き上げて3.75~4.00%とし、2023年以来の利上げに踏み切りました。さらに米国の長期金利も上昇が続き、米10年国債利回りは9月24日に5.223%と2007年6月以来の高さに達しました。香港はドルペッグ制のため米国の金利と連動しやすく、将来の利益に期待して買われるハイテク株の評価が押し下げられました。

需給面では、中国本土の連休が影響しました。中秋節の9月25~27日と国慶節の10月1~7日は香港市場への本土からの投資経路(南向き取引)が止まり、本土の資金が買い手として不在になりました。この南向き資金は年初からの純流入額が3800億香港ドルを超え、香港ハイテク株の最大の買い手でした。その不在の中で迎えた10月2日には、世界的な債券売りが重なり、ハンセン指数は2.6%下落して24,000ポイントを割り込みました。

上海:4,000ポイントの壁と、成長株から守りへの資金移動

上海総合指数は、9月も4,000ポイントの大台に届きませんでした。9月22日には3,967ポイントの高値を付けましたが、8月以降4,000ポイント手前での高値はこれで3回目です。その上には2015年と2021年に高値で買った投資家の売りが控えているとの見方が広がりました。また電池大手の寧徳時代(CATL)は5月の最高値から32%以上下落するなど、相場をけん引してきた成長株の勢いが鈍りました。月末にかけては売買も細り、9月29日の上海・深セン両市場の売買代金は14ヶ月ぶりの低水準となり、物色の中心は成長株から守りの銘柄へと移りました。国慶節の大型連休を前に、リスクを取りにくい雰囲気が強まった形です。

明るい材料も出始めた:景気指標の改善と米中首脳会談

一方で、9月末にかけて前向きな材料も出ています。9月の中国政府発表のPMI(企業の景況感指数)は製造業が50.1、非製造業が50.2、総合が50.7と、いずれも前月から上昇し、好不況の分かれ目である50を上回りました。特に製造業は2ヶ月続いた50割れから回復し、生産指数は51.7と年初来の高さでした。

外交面では、9月23~25日に習近平国家主席が米国を国賓訪問し、両首脳は8項目の成果で合意しました。政策面でも、9月28日の国務院常務会議が、実効性のある追加の政策を打ち出し、金融政策の手段を総合的に使うとともに、不動産市場を安定させる政策の検討を指示しています。

10月の見通し:上海は「政策会議と決算」、香港は「南向き資金の復帰と米国の金利」

上海については、10月は重要な日程が続く「政策の月」になります。7~9月期の経済指標が発表されるほか、五中全会と中央政治局会議が相次いで開かれ、内需や不動産、投資の数字が弱ければ追加の政策が出る可能性が高まるとの見方があります。企業の7~9月期決算も10月中旬から発表が始まります。中国の証券会社の見方は分かれており、年内は小幅な反発にとどまり揉み合いが続くとの慎重派と、決算をきっかけに年内最後の上昇局面が来るとの積極派がいます。私は、4,000ポイントを超えるには売買代金の回復が欠かせず、10月は3,800~4,000ポイントでの揉み合いの中で政策の中身を確かめる月になるとみています。

香港については、10月8日に南向き資金が戻ってくることが最初の焦点です。連休中の下げは本土の買い手が不在の中で起きたものだけに、本土からの資金復帰後に買いが戻るかどうかで、年初来安値圏から反発できるかが見えてきます。一方、外部環境の不安は残ります。米国では10月27~28日のFOMCで追加の利上げがあるかどうか、そして米国の長期金利の動きが引き続き香港の重石になり得ます。さらに2025年10月に合意した米中の関税の一時停止措置は11月10日に期限を迎え、11月18~19日には深センでAPEC首脳会議も予定されています。米中関係の改善が具体的な関税引き下げにつながるかどうかが、年末にかけての大きな分かれ目になりそうです。

まとめると、9月の下落は、中国国内の要因よりも「米国の利上げと長期金利の上昇」という外からの逆風と、連休前の資金の手控えが重なったものでした。足元では景気指標の改善や米中首脳会談の成果など、反転のための材料もそろい始めています。10月は、南向き資金の復帰、7~9月期の経済指標、五中全会と政治局会議という国内の3つのイベントが、外からの逆風を跳ね返せるかを試す1ヶ月になると思います。