2011年に元手240万円から株式投資を始め、育休中のデイトレードなどを経て資産5億円(2026年2月時点)を突破した個人投資家ちょる子さん。家事や育児、仕事と両立しながら、どのようにしてここまでの大きな資産を築き上げたのでしょうか。圧倒的なリターンをもたらした「値がさ株」への集中投資の理由や、ママ投資家ならではのエピソード、そして資産拡大に伴うリスク管理の徹底など、赤裸々に語っていただきました。

●ちょる子さんプロフィール●
個人投資家、ママ投資家。2011年頃に株主優待を目的に投資をスタートし、育休期間を利用したデイトレードで大きく資産を拡大。現在は仕事(PRや不動産関連の事業を展開)と両立しながら、相場環境に合わせたスイングトレードを実践。Xなどでも積極的に情報発信を行っている。2026年5月に初の著書『ママ投資家が育休中に1億貯めた株式投資』(ダイヤモンド社)を出版。

優待目当ての240万円から投資スタート、原動力は「パン1個」で過ごした極貧生活

――最初のスタートは元手240万円だったと伺っています。そもそも家事や育児をこなしながら、ここまでストイックに資産拡大を目指した原動力は何だったのでしょうか?

実は学生時代、お惣菜パン1個で1日をしのぐような極貧生活を経験した時期があるんです。実家は裕福だったのですが、私立大学の薬学部の高額な学費を出してもらっていたので、仕送りはもらわず生活費はすべて自分のアルバイトで賄っていました。

この時、自分自身の力でお金を生み出すことの大変さと、お金がないことの惨めさを痛感。「絶対に自分自身の力で資産を築くんだ」という執着と、冷静な金銭感覚を養うきっかけになりました。

――そこから「1億円」という大台に乗るまでに、ご自身の投資手法はどのようにステップアップしていったのでしょうか?

最初のスタートは民主党政権の時代(2011年)です。当時は「優待目当て」だったので、240万円でオリエンタルランド(4661)に投資していただけでした。本格的に動かし始めたのは2018年です。つみたてNISAで投資信託をスタートしつつ、その年の10月にずっと持っていたオリエンタルランドを利益確定しました。アベノミクスの恩恵もあって、手元資金が約2000万円になったんです。

そこからが大きな転機でした。2019年1月に、米中摩擦などの影響で半導体関連が大きく売られ、東京エレクトロン(8035)の配当利回りがなんと5%になっていたんです。「これはチャンスだ」と思い、手元の2000万円を全額投じました。

育休中のデイトレードで1億円まで資産が拡大

――デイトレードを始めた時期と資金を投入した銘柄について教えてください。

2019年7月頃から本格的にデイトレードを開始しました。当時は育休中だったので、毎日相場に向き合うことができ、2019年12月時点で資産は5000万円に。2021年の大発会で、ついに目標だった「1億円」を達成しました。

1億円までの道のりは、ほぼデイトレ-ドです。東京エレクトロン、ディスコ(6146)、キーエンス(6861)、任天堂(7974)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)といった「値がさ株(株価が高い銘柄)」を、1,000株単位のロットで張って回すという手法を取っていました。

【図表1】ちょる子さんの投資年表

ちょる子さんのデータをもとにマネックス証券が作成
年月 出来事・投資行動
2011年頃 株主優待を目的に、240万円でオリエンタルランド(4661)を購入
2018年 つみたてNISAで投資信託の運用を開始
同年10月に保有していたオリエンタルランドを利益確定し、手元資金が2000万円に到達
2019年1月

米中摩擦等による下落相場で、配当利回り5%となっていた東京エレクトロン(8035)に手元の

2000万円を一括投資

2019年7月 育休期間を利用し、本格的にデイトレードを開始
2019年12月 デイトレードにより資産が5000万円に到達
2021年1月 資産1億円を達成
2021年2月 AIinsideの決算跨ぎで1日で2400万円溶かす
2021年7月 資産が6800万円ほどまで下落し、一度退場
2021年7月末

商船三井(9104)が配当利回り10%になり10,000株、日本郵船(9101)も同時に10,000株購入し

相場に復帰

2021年11月 職場復帰に伴い、デイトレードから「暴落時に大型優良株を買う」スイングトレードへ手法を切り替え
2023年末 資産2億円達成
2024年8月 令和のブラックマンデーで5000万円溶かす
分散投資を意識し、資金の半分を高配当株へシフト
2025年9月 資産3億円突破
2025年12月 資産4億円突破
2026年2月 資産5億円突破

出所:ちょる子さんのデータをもとにマネックス証券が作成

【図表2】ちょる子さんの金融資産推移
出所:ちょる子さんのデータをもとにマネックス証券が作成

仕事復帰後は空いた時間に相場をチラ見、育休デイトレからは戦略変更

――著書の中での「授乳しながらスマホでデイトレ」というエピソードが印象的です。デイトレードと安くなるのを待つ中長期投資をどのように使い分けていたのですか?

デイトレードは、あくまで「育休中のように、日中ずっと相場(場)を見ていられる環境」だからこそできることだと割り切っていました。

復職してからは仕事がありますから、ずっと画面に張り付いているわけにはいきません。今のスタイルは、仕事の合間にチラッと相場を見て、「あ、今暴落して売られすぎているな」という銘柄があればインする、という方法にシフトしています。毎日必ずデイトレをやろうとするのは、今の私の生活スタイルには合っていないですね。

――大金を動かすプレッシャーのなかで、ママ投資家ならではの体験談やヒヤリハットがあれば教えてください。

最近だと、マイクロン・テクノロジー[MU]の決算発表で日経平均が一気に3,000円暴騰した歴史的な日がありました。本来なら絶好のトレードチャンスだったのですが、ちょうどその日、娘が熱を出して小学校を休んでいたんです。

朝の9時、さあ相場が開く!という一番大事な瞬間に、娘から「ママ、塗り絵しよう」と…(笑)。さすがにその状況では集中できず、普段なら増やすはずのロットも増やせず、なんなら誤発注までしてまったく自分らしいトレードができなかったのは悔しかったです。これもママ投資家ならではのリアルですね。

銘柄選びの4つのステップと「値がさ大型株」に絞る理由

――著書でも解説されている、具体的な銘柄選びの「4つのステップ」について教えてください。

私の銘柄選びは、いきなり個別銘柄を探すのではなく、常にマクロ視点から入ります。具体的には以下の4つの手順です。

1.世界経済の方向性を知る(マクロ環境の把握)
2.資金が集まるテーマを決める
3.その中からセクター(業種)を絞る
4.業界トップの企業を安いときに買う(逆張り)

まずは「今、世界のどこにお金が向かっているか」を見極めます。そこからテーマ、セクターと落とし込み、最終的に「その業界で一番強いトップ企業(値がさ大型株)」が相場全体のパニックなどで一時的に安くなったタイミングを狙ってエントリーします。これが最も勝率が高いと考えています。

――そこからさらに「値がさ大型株」に絞ってトレードする理由とメリットを教えてください。

最大の理由は、「1日のうちの値動きの幅(ボラティリティ)が大きく下がったとしても指数と連動して大きなお金が入ってくる」という点です。日銭を稼ぐトレードをする上で、ある程度のロットを入れやすいというのは非常に重要です。

また、東京エレクトロンのような銘柄は日経平均の寄与度が高い(指数に連動しやすい)ので、相場全体の流れを読みながらトレードしやすいというのも、私が大型の値がさ株を好む理由です。

資産拡大の立役者は東京エレクトロンとキーエンス

――1億円突破まで、そして現在の資産5億円に至るまで、圧倒的に寄与した銘柄は何だったのでしょうか?

どちらのフェーズにおいても、圧倒的に寄与してくれたのは東京エレクトロンとキーエンスです。AIという産業の未来に対する期待値と、この2社の素晴らしい財務体質には本当に感謝しかありません。特に東京エレクトロンは日経平均への寄与度が高いので、相場全体が上がる波にしっかり乗ることができたのが大きかったです。

――ご自身の得意なテーマや大型株に資金が向かっていない時、あるいは相場環境が悪い時はどのように対応していますか?

そういう時は、潔く「休む」が正解だと思っています。自分の得意じゃない相場環境で無理にトレードをして損をするほど、愚かなことはありません。「休むも相場」です。

――現在、注目しているセクターや個別の銘柄があれば教えてください。

セクターで注目しているのは「銀行」ですね。また、「工作機械」も受注統計の数字が良いので注目していましたが、テック関連全般については、2026年後半は少し厳しい展開になるのではないかとみています。個別銘柄だとAIメカテック(6227)に注目しています。半導体関連の中でも受注の状況が非常に良いため、期待しています。

――現在の資産のポートフォリオはどのようになっていますか?

大きく分けると、資産の半分を「高配当株などを保有する口座」に、残りの半分を「トレード資金」として回しています。日本たばこ産業(2914)、武田薬品工業(4502)、積水ハウス(1928)、AGC(5201)、北海道電力(9509)などを保有しています。

――2027年から開始予定のこどもNISAについてはどのように活用される予定でしょうか?

日経平均株価に連動する投資信託を活用予定です。

数千万の「大損」を経て行き着いたリスク管理と情報収集術

――「数千万円を溶かす」といった大損した経験(年表参照)はリスク管理にどう影響していますか?

あの絶望感は今でも忘れられません(笑)。特に2,400万円を1日で失った時は、投資ではなく完全に「ギャンブル」になっていたと猛省しました。

資金が大きくなってくると、ひとつの判断ミスが致命傷になります。大損の痛い経験から、「買ったストーリーが崩れたら切る」という大前提に加えて、「含み損が10%に達したらシステム的に感情を交えずに損切りを実行する」という機械的なルールを徹底するようになりました。この経験があったからこそ、今の厳格なリスク管理が身についたのだと思います。

――常に何銘柄くらいを定点観測していますか?また、銘柄の入れ替え頻度も教えてください。

常に120銘柄くらいをリストに入れて定点観測しています。相場にはその時々の「旬」があるので、四半期ごとの決算のタイミングなどでリストの銘柄を入れ替えています。

――著書にある「1日60回X(旧Twitter)を見る」という圧倒的な熱量には驚きました。ノイズも多い中で、どのように情報収集や最終判断を行っていますか?

「1日60回見る」「1日3時間Xに張り付く」というのは、息をすると同じようなルーティンになっていますね。ただ、SNSをよく見ると言っても、インフルエンサーなどの「個人の見解」は基本的に見ません。私がSNSで追っているのは、あくまで「経済指標の速報」です。それに加えて、「日経新聞」と「テレ東BIZ」を日々の情報源として活用しています。エントリーの最終判断は、やはり会社の決算の数字と経済指標という「事実」を確認行うべきだと思っています。

なお、決算については、基本的に決算は「またがない」ことを大原則にしています。というのは、期待やテーマ性だけで買われてきた株は、決算内容が良くても「材料出尽くし」で売られることがありますし、逆に内容が悪いと「雰囲気」が完全にはぎ取られて暴落するリスクがあるためです。企業決算では「受注の伸び」と、継続性があるかどうかといった「伸びている理由」に着目するようにしています。

――投資方針やルールにおいて、「これだけはしない」と固く決めていることはありますか?

「他人が推奨している銘柄を適当にトレードする、いわゆる『イナゴ』は絶対にしない」ということです。自分でストーリーを描けない銘柄に乗っても、下がった時に自信を持って持ち続けることも、適切なタイミングで切ることもできないからです。

投資は「趣味」、経営者として日本のGDPに貢献したい

――資産が数億円に達し、金銭的な不安がなくなった今、投資へのモチベーションはどこにあるのでしょうか? 今後の目標も教えてください。

今の私にとって、投資は完全に「趣味」です。周りの投資家仲間には資産100億円クラスのプレイヤーもいるので、投資家としてはそこまでは頑張ってみたいという思いはありますね。

ただ、お金が増えればできることも増えます。これからは投資で増やしたお金を「自分自身の事業(ビジネス)」にしっかりと投資して、経営者としても日本のGDPに貢献していきたいというのが今の大きな目標です。

――最後に、日々の仕事や育児で「投資の時間が取れない」と悩む読者へアドバイスをお願いします。

「世の中のすべての情報を追わなきゃいけない」と思うと苦しくなりますし、それは不可能です。全部を追う必要はありません。「朝起きたらこの指標だけチェックする」「夜、子どもが寝た後にこのニュースだけ見る」といったように、自分のライフスタイルに沿った無理のないルーティンを作ることが、長く投資を続けるためのマインドセットだと思います。

企画・編集/マネクリ編集部(佐野佳代子、西條玄香)

※本内容は2026年7月に行ったアンケート取材を編集し掲載しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。