アラサー夫婦の「はるあきさん」は、職場の上司の勧めで知識ゼロから投資をスタートし、インデックスファンドの積立投資と高配当株への投資を中心に資産形成に取り組み、5年で年間配当50万円を達成しています。後編ではおふたりに5年間の投資での成功談と失敗談や今後の目標などをうかがいました。
将来的には月々10万円の配当金を受け取りたい
――年間の配当金はどのぐらいでしょうか?成功のポイントや今後の目標についても教えてください。
はるさん 配当金については、すべてが株式からの配当金ではなく、高配当株からの配当金は30数万円、その他クラウドファンディングなどの分配金も含み、年間で50万円という感じになっており、この金額感に達したのは2025年です。
あきさん 将来的には、株式から月10万円ぐらいの配当金を受け取れるようになれば嬉しいなと思っています。ただ、そのために無理をして投資を増やそうとは思っていません。自分たちが安心して保有できる銘柄に、コツコツと無理のない金額で投資していければと考えています。その銘柄は今後増配するものもあるでしょうから、増配と買い増しで、10年後ぐらいに達成できたらいいなという感じでイメージしています。
――現在保有している銘柄のうち、特に期待している銘柄があれば教えてください。
はるさん 個別銘柄については、自身の評価額上位5社順に日本株は、信越化学工業(4063)、東京海上ホールディングス(8766)、KDDI(9433)、上組(9364)です。米国株は、ジョンソン&ジョンソン[JNJ]、アームホールディングス[ARM]、ユナイテッドヘルスグループ[UNH]、マーベルテクノロジー[MRVL]、マイクロソフト[MSFT]を保有しています。このうち、日本株においては、特に期待している銘柄は東京海上ホールディングスと、信越化学工業の2銘柄です。
東京海上ホールディングスは、損害保険の大手企業です。東京海上日動を中核とする大手保険グループで、日本国内に圧倒的な基盤があることに加えて、海外展開も積極的に行っています。2026年3月には、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイとの資本提携を発表するなど、今後のさらなる成長が期待できる材料もあります。株主還元にも積極的で、配当を株主還元の基本と位置付け、利益成長に応じて持続的に高める方針を掲げています。事実、コロナ禍の2020年3月期に1度減配したものの、その後は7期連続で増配を続けています。
信越化学工業は、AI半導体(GPU)の製造に不可欠なシリコンウェハーで世界シェア1位(約30%)を占める企業です。今後の成長が期待できることはもちろんですが、キャッシュリッチな会社としても知られています。その資金は事業への投資にも使われるとは思いますが、自社株買いや配当金など株主還元に使われる可能性もありそうです。非減配期間が40年を超えるなど、今後の増配が期待できそうな会社ではないかと考えています。
自分でしっかり選んだ銘柄は下落局面でも安心して保有できる
――この5年間の投資での成功談と失敗談を教えていただけますか?
あきさん 成功談はあまり思いつきませんが、早く始めたことが良かったのではないでしょうか。投資を始めた時は株価が上がり調子で不安もありましたが、5年間を振り返ってみれば「早く投資を始めておいて良かった」と思います。
はるさん 失敗談は、あまり投資の勉強をしていなかった頃に、XやInstagramで紹介されている人気株や「これが上がりそう」と言われている銘柄を選んでいた時期があったことです。米国株についてそれほど詳しくない時に、SNSで紹介されていた銘柄を買ったものの、買値から99%くらい下がったということがありました。その銘柄はその後、上場廃止となってしまいました。投資額は2~3万円だったので、損失も大きくはなかったのですが、「株ってこれほど下がることもあるんだ!」と衝撃を受けました。
その経験から、自分なりの判断を入れずに、誰かの情報を鵜呑みにして銘柄を選ぶことは失敗につながりやすいという学びがありました。いまでは高配当という自分なりの軸を持ち、銘柄選定についても自分なりの理由を見つけたうえで、ある程度自信を持って買えるようになりました。
自分で選んだ銘柄ならば、仮に相場が大きく下がった場面でも、売り抜けるとか、買い増すという判断もできるでしょう。「あの人が上がると言っていたから」という理由で買った銘柄は、持っている間もドキドキしっぱなしでしたし、株価が下がった時は不安でなりませんでした。
あきさん 自分で銘柄を選べるようになったことで、株価が下がっても不安にならずに持ち続けられるようになったことは大きな変化だと思います。高配当銘柄は、株価が下がったところが買い増すチャンスにもなりますし、株価が上がればうれしいですし、そこがとても良いなと思います。
社会にもお金を循環させつつ、投資で資産を増やしていきたい!
――現在のポートフォリオと資産配分を変更するタイミング、投資対象としている銘柄について教えてください。
はるさん 現状では、高配当株とインデックス投信を半分ずつくらいの割合で保有しています。最近、米国債にも投資を始めました。資産配分を変更するタイミングについては、50~60歳くらいになってリスク許容度が低くなってきた頃に、値動きが穏やかな安定的な資産の割合を増やそうかなとは考えていますが、その時に具体的にどの資産を増やすかは、まだ決めていません。
ただ、高配当株を持っていると配当金が入ってきますから、高配当株は持ち続けるのではないかと思います。将来は、配当収入をメインにして生活できるようになったらいいなという思いもあります。
――目標資産額やライフスタイルなど、今後の目標について教えていただけますか?
あきさん お金に関しては「これだけ増やしたい」といった目標は決めていません。先日、2週間ほどオーストラリアへ旅行したのですが、いましかできない体験にお金を使うことも大切だと考えています。お金を使うことは、社会にお金を循環させることにつながります。お金を貯め込むのではなく、社会にお金を循環させながら、少しずつ投資で資産も増やしていけたらいいなと思います。
ライフスタイルについては、今すぐにというわけではありませんが、自然が好きなので、湖のほとりに家を建てて、ゆっくりと余裕を持って暮らすことが理想です。まだまだ夢のまた夢みたいな感じですが…。
はるさん 僕たち自身、お金の知識を得ることができたことで、人生がとても良くなっているという実感があります。そのため、自身で運営しているマネースクールやSNSを通じて、本当に役立つお金や投資に関する情報をわかりやすく、楽しく発信していければと思っています。
あきさん ただお金を増やす方法を伝えるのではなく、お金を増やすことによってご自身の人生の選択肢を増やしていただき、やりたいことを実現できる人生にしてほしいです。そのお手伝いができればと思います。人生は、誰にとっても一回だけですから。
――投資方針や投資のルールで「これだけはやらない」と決めていることを教えてください。
はるさん 1つ大切にしていることがあって、それはどんなに話題性があったり、注目されていて株価が上がりそうな銘柄であっても、自分たちの考えに反していたり、あまり自分たちの興味や関心がない事業を行う企業には投資しないようにしています。例えば、僕たちはタバコを吸わないので、タバコ関連の企業は投資していません。
あきさん 私たちは、「自分たちだけが儲かればいい」という価値観は好きではありません。なので、短期で利益を狙う銘柄ではなく、会社の長期的な成長とともに社会も良くなり、自分たちの資産も増えていくという視点で銘柄を選んでいます。
投資情報の収集・分析にかける時間は毎日30分程度
――普段から活用している情報源や情報収集の方法を教えてください。
はるさん 一番よく見ているのは日経新聞の電子版です。マーケット情報を毎日チェックすることはもちろん、政治やビジネスの流れをつかむようにしています。近頃ではAIが本当に便利になっているので、ChatGPTなどのAIを活用して企業情報や決算情報を収集しています。その結果、年々効率的に情報収集ができるようになっていると感じています。もちろん、企業のウェブサイトで得る情報も非常に重要です。
そのほか、ネット証券の投資情報や銘柄分析ツール「銘柄スカウター」をよく使っています。
――投資にかける時間はどのくらいですか?
はるさん 短期トレードをしているわけではないので、それほど多くはありません。毎朝30分くらいニュースをチェックするほかは、自分が注目している銘柄のニュースや決算情報を見るくらいでしょうか。注目している銘柄については、株価アラートを活用しています。「この値段まで下がったら、割安なタイミングだから買おう」と事前に考えている銘柄をリスト化しておき、アラート通知が来るように設定し、通知されたら機械的に投資をするようにしています。
――どういう指標を見て割安かどうかを判断していらっしゃいますか?
はるさん 配当利回りとPERの2つをチェックしています。配当利回りが過去5年の平均よりも高いか、PERが過去5年の平均よりも低いかどうかなどを確認して、その条件を満たし、かつ悪い決算が出ていなければ、その銘柄を買うようにしています。
大切にしている言葉は「Less is More(少ない方が豊かである)」
――投資の指針とされている書籍や座右の銘はありますか?
はるさん 僕が投資を始めるきっかけになったのは、「投資の大原則」(バートン・マルキール/チャールズ・エリス著)と、「ウォール街のランダムウォーカー」(バートン・マルキール著)を読んだことです。この2冊を読んで投資をロジック的に理解でき、「投資は怖くないんだ」とわかりました。投資を始める段階で、この2冊を読んでおいて良かったと思っています。
あきさん 私の人生の座右の銘でもあり、大切にしている言葉に、近代建築の巨匠であるミース・ファン・デル・ローエの「Less is More」があります。「少ない方が豊かである」という意味の言葉です。私たちも投資情報を発信していますが、投資情報はさまざまな内容が多くあって、どれを選べばいいのか迷ってしまう人が少なくないと思うんです。
でも、本当に大切なものは、実は少ししかないのではないでしょうか。「これに投資すれば、さらに増える」といわれるものはいろいろあります。でも、私たちは、自分たちが心地よく投資を続けられる高配当銘柄への投資とインデックスファンドの積立をシンプルに続けていきたい。それ以外のものは持たないことで、結果として心豊かに暮らせるのではないかと思っています。
――最後に、投資に苦手意識がある方へのアドバイスをお願いします。
あきさん 私たちも最初は、投資って数字ばかりでとても難しいものだと思っていました。ですが、実際にやってみて、投資って本当に身近なものだなと感じています。
あまり難しく考えず、「この会社は好きだな」とか、「この会社を応援したい」という気持ちを持つのもよいと思います。例えば、ディズニーランドが好きなら、オリエンタルランド(4661)の株を買ってみるとか、ゲームが好きなら任天堂(7974)を買ってみるみたいな感じです。好きな企業は応援しやすいので、株価に一喜一憂せず長く持つことができ、気づいたら株価が上がって、利益を得る可能性もあるでしょう。
最初から大きな金額で投資する必要はありません。私たちも月1000円という少額から投資を始めた結果、世界が大きく変わりました。むしろ、最初から「毎月、配当金を3万円得たい」という目標をつくると、苦しくなってしまうのではないでしょうか。それよりも少額から無理のない金額で、少しずつ積み重ねることが大切です。その経験こそが、皆さんの資産を増やすことにつながるのではないかと思っています。
――本日はどうもありがとうございました。
>> >>【前編】「30代夫婦月1,000円から始めて5年で「年間配当50万円」、NISA活用でインデックスファンドの積立と増配銘柄の二刀流」
取材・文/大山弘子
企画・編集/マネクリ編集部(宮本沙織、西條玄香)
※本内容は2026年4月に行ったインタビューを編集し掲載しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。
