日本株全体の牽引役を再確認

今週の日本株相場は底堅く推移する公算が大きい。ただし、日経平均が史上最高値圏にあるなかで、相場の主役が入れ替わる局面に差しかかっており、指数全体は堅調でも銘柄間の明暗はこれまで以上に鮮明になりそうである。

前週の日経平均は一時6万円を割り込んだものの、その後急反発し、終値ベースで史上最高値を更新した。背景にあったのは、中東情勢を巡る過度な警戒の後退に加え、米エヌビディア[NVDA]の好決算、さらにはオープンAIのIPO観測を受けたAI関連株への資金回帰である。ソフトバンクグループ(9984)や半導体関連株が相場を押し上げ、AIというテーマが依然として日本株全体の牽引役であることを再確認する展開となった。

注目すべきはAI相場の中身の変化

これまでストラテジーレポート等で再三述べてきたが、注目すべきなのは「AI相場の継続」そのものではなく、「AI相場の中身」が変化している点である。エヌビディアは市場予想を上回る決算と大規模自社株買いを発表したにもかかわらず、株価の反応は鈍かった。一方で日本市場では、ソフトバンクグループやキオクシアホールディングス(285A)、太陽誘電(6976)、AIサーバー周辺部材株などへ物色が広がっている。かつてのような「エヌビディアが上がれば全半導体株高」という単純な構図ではなく、AIインフラ、電力、通信、実装、メモリ、データセンター周辺へと物色が多極化している。これはAI相場第二幕とも言える局面であり、日本企業・日本株にとってはむしろ追い風だ。

今週は中東情勢、国内物価についての指標と日銀の見解に注目

今週、最大の材料はやはり中東情勢だろう。イラン和平交渉進展への期待と再攻撃観測が交錯しており、状況はなお流動的だ。もし和平期待が強まれば、これまで出遅れていた金融、内需、景気敏感株への資金シフトが進む可能性がある。逆に緊張再燃なら、原油高・金利高を背景として再びAI、防衛、エネルギー関連が優位になろう。市場は「有事の株売りは続かない」という経験則を織り込みつつあるが、短期的なボラティリティ上昇には注意が必要である。

国内要因では、29日に発表される東京都区部CPI(消費者物価指数)と、植田日銀総裁の発言が焦点となる。市場では6月の日銀追加利上げ観測が高まっており、物価指標が上振れれば銀行株や保険株への追い風となる一方、グロース株や高PER(株価収益率)銘柄には逆風となる可能性がある。

AI関連一辺倒から、金融、内需、防衛、素材へと資金が循環する兆しが少し見え始めている。その意味ではTOPIXが最高値を更新できるかが大きな焦点だ。

予想レンジは6万2000円-6万4000円とする。