2026年4月10日(金)日本時間21:30発表
米国 2026年3月CPI、他

【1】結果:3月のCPI前年比3.3%上昇 2月PPIが市場予想を上振れ

2026年3月の米・消費者物価指数(CPI)は、ヘッドラインが前年同月比3.3%上昇と市場予想(同3.4%上昇)を下回りました。食品・エネルギーを除いたコア指数(コアCPI)も、同2.6%上昇と市場予想(同2.7%上昇)をわずかに市場予想を下回りました。一方、3月中旬に発表された2026年2月の生産者物価指数(PPI)では、コア指標で前年同月比3.9%上昇と、インフレ加速が確認されました(図表1)。

【図表1】米コア物価指数の推移(前年同月比%)
出所:米労働省労働統計局、米商務省経済分析局よりマネックス証券作成
※コアPCE価格指数のみ季節調整値

【2】内容・注目点:最終財が緩やかにインフレ加速/先行きでもインフレ再燃が危惧される

3月の米CPIは、中東情勢の緊迫化の影響もあり、エネルギーが前月比10.9%増と大きく上昇しました。エネルギーが指数全体に占めるウェイトは6%ほどであり、全体への影響はいったん限定的と言えるでしょう。しかし、輸送関連のサービスなどへの波及が危惧され、ガソリン価格などが高止まりするケースでは家計にも負担が増えると懸念されます。

【図表2】CPI エネルギー前月比の推移
出所:米労働省労働統計局よりマネックス証券作成

また、図表1にあるようにPPIの上昇が見え始めています。2026年2月のコアPPI(食品とエネルギー除く生産者物価指数)の市場予想である前年比3.7%上昇を上回り3.9%の上昇となりました。まだ、米国・イスラエルによるイランへの攻撃が始まる前であり、企業間の物価動向ではインフレが加速してきたことが示唆されます。実際に、どの品目が上昇しているか確認するとサービスよりも財のインフレが少しずつ上昇してきていることが確認できます(図表3、水色)。一部には、関税分などのコストを企業側のマージン圧縮だけでは、まかないきれないことなどから、ここにきて価格転嫁を実施しているといった指摘もされています。

【図表3】PPI 財・サービスの推移
出所:米労働省労働統計局よりマネックス証券作成

足元では、企業の価格見通しにも上昇が確認されます。ISM非製造業景気指数の価格指数は、直近では4月頭に発表されたデータで、70.7と前月の63.0から大きく上昇しました(図表4)。2025年に発表された米政権の関税政策以降、同指数は上昇しており、ようやくピークアウトの兆しがが見られていたなかでの急騰と言えます。

同指数は、過去にはCPIに先行していたこともあり、注目されていますが、直近ではCPIからの上方乖離が確認され、以前ほど、その相関から先行きの物価動向を示唆することは難しくなりました。しかし、企業の購買・供給管理の責任者はやはり物価上昇を見込んでいると言え、方向感としてはインフレ圧力が続いていくと考えられます。

【図表4】CPIとISM非製造業景気指数 価格指数の推移
出所:米労働省労働統計局、全米供給管理協会よりマネックス証券作成

【3】所感:期待インフレの上昇が長引くかが鍵

前回の同レポート「【米国】2月CPI前年比は横ばい 中東情勢の悪化が期待インフレ率を上昇させ、利下げ期待の後退につながる可能性も」では、市場・家計の期待インフレの上昇を指摘しました。中東情勢の緊迫化というイベントによる上昇であり、これらの期待インフレのデータは、足元の局面では振れが大きくなる局面と言えます。先週末(4月11日~12日)には米国とイランの停戦協議が実施されたものも、合意に至らなかったことで、早期の進展が遠のいた印象です。インフレ動向の観点でも、中東情勢の緊迫化が長引けば、これらの期待インフレの上昇を通して、実測される財やサービスに波及すると言え、インフレ再燃を意識せざるを得ないと考えています。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太