先週(6月8日週)の振り返り=160円台半ばまで円安進むも為替介入なし

小動きながらも円安がジリジリと進行

先週(6月8日週)の米ドル/円は、小動きながらも米ドル高・円安がジリジリ進む展開が続き、一時160円台半ばまで上昇しました。しかし6月11日、トランプ米大統領の発言などをきっかけにイラン戦争の終結期待が広がると、原油価格の下落や米金利低下に伴って米ドル売りが強まり、米ドル/円も159円台半ばまで反落する場面もありました(図表1、2参照)。

【図表1】米ドル/円の日足チャート(2026年3月~)
出所:マネックストレーダーFX
【図表2】米ドル/円と日米2年債利回り差(2026年4月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

日本の通貨当局は、2026年4月末に米ドル高・円安が160円を超えてきたときに、為替介入(米ドル売り・円買い)に出動しました。先週(6月8日週)は、米ドル/円は160円台で推移したものの、為替介入は行われなかったようです。では円安阻止の方針が変わったかと言えばそうではなく、ジリジリと米ドル高・円安が進む中で、為替介入のタイミングがなかったということではないでしょうか。

160円を大きく超える円安は容認せず=円安阻止の方針に変化はあるか?

2026年に入り、最初に米ドル/円が160円を超えたのは3月27日のことでした(図表3参照)。その翌営業日の3月30日、為替介入の実質的な責任者である三村財務官は、「この状況が続けば、そろそろ断固たる措置も必要になる」と発言しました。三村財務官が、為替介入の意味と理解されている「断固たる措置」と発言したのは、この時が初めてでした。

【図表3】米ドル/円の日足チャート(2026年1~5月)
出所:マネックストレーダーFX

この「三村発言」などを受けて、米ドル/円は4月1日には158円台まで反落しました。しかし4月29日に改めて160円を超えて米ドル高・円安が進むと、翌4月30日、片山財務大臣と三村財務官はともに為替介入を強く示唆する発言を行った上で、実際に為替介入(米ドル売り・円買い)に出動したとみられました。

以上から、日本の通貨当局の円安阻止方針は、160円を大きく超える円安を容認しないことだとみられます。そう考えると、先週(6月8日週)160円を超えた円安に対して為替介入がなかったのは、ジリジリと進む円安の中で、介入に動くタイミングがなかっただけではないでしょうか。

別の言い方をすると、この先も160円を超えた円安が急拡大しそうになった場合、為替介入(米ドル売り・円買い)を再開する可能性は、引き続き高いままだと思います。

今週(6月15日週)の注目点=日銀利上げ前後に為替介入の再開は?

日米の金融政策発表など注目イベント多数

今週(6月15日週)は日米などの金融政策発表が多く予定されています。主なところでは、まず6月16日は日本と豪州、そして6月17日に米国、6月18日に英国の金融政策が発表される予定です。

6月16日の日銀金融政策決定会合では、2025年12月以来の利上げの決定がほぼ確実視されています。問題は、それがこのところ小動きが続いてきた為替相場が動意付くきっかけになるかということです。

すでに織り込まれた利上げに対して、相場が円買いで反応するかは不透明でしょう。2025年12月に利上げが決まった後も、むしろ154円台から157円台へ米ドル高・円安が進みました。ただし160円を超えた水準からさらに円安が広がった場合、通貨当局は米ドル売り・円買いの為替市場介入に動く構えを示しています。介入警戒のまま小動きが続くか、それとも介入再開で円高へ大きく動くか、勝負どころとなりそうです。

6月17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、金融政策の変更は予想されていませんが、FOMC初参加となるウォーシュ新FRB(米連邦準備制度理事会)議長の動向が大いに注目を集めそうです。

米金融政策については、イラン情勢を受けたインフレ再燃への懸念から年内の利上げ予想が広がってきました。それに対するウォーシュ新議長の認識はどうか。また新議長は、いわゆる「ドット・チャート」などこれまでのFRBによる情報発信方法に異論があるとの見方もあることから、それらについてこの先どのように変わる可能性があるかも注目されるでしょう。

今週(6月15日週)の米ドル/円は155~161円で予想

金融政策発表以外の材料として、6月15~17日の仏エビアン・サミット(先進国首脳会議)や、米経済指標も5月小売売上高など注目度の高い指標の発表が多く予定されています。そうした中でも、米ドル/円の行方を考える上では、円安阻止の為替介入再開の影響がやはり最も大きいのではないでしょうか。米ドル売り・円買い介入が行われた場合、経験的には1日で4~5円程度円高に動きます。それを踏まえると今週(6月15日週)の米ドル/円は、155~161円で予想したいと思います。