バフェット氏、次に大きな下落があれば「すぐに投資する」
米投資会社バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のCEO(最高経営責任者)を2025年末に退任したウォーレン・バフェット氏は3月31日、米CNBCの番組に出演し、次に大きな市場の下落があった場合、「(株式市場に)すぐに投資する」と明らかにした。そして、「投資するのは、株式や事業が魅力的で、来週や来月に売却する予定がないからだ」と付け加えた。
一方で、四半期ベースで約4年ぶりに悪いパフォーマンスとなった米国株式市場については、自身がバークシャーのCEOに就任してから(株価が)50%を超えて下落したことは3回あったとし、今回は大きな相場変動とは言えず、決して興奮させられるものではないと語り、過去と比較してまだ大きな買い場にはなっていないとの認識を示した。
バフェット氏はインタビューの中で、人々が市場の動向を知っていると思っていること自体が全くもって信じられないと語るとともに、「何が起こるか分からない。だからこそ、何があっても備えておきたい。だから、常に現金と短期債を保有している」と述べた。
バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]の手元キャッシュは1年前から12%増加
2月28日にバークシャーが発表した2025年12月末時点の手元キャッシュ(現金同等物に米財務省短期証券の保有額を合わせた広義の手元資金)残高は約3733億ドルと、1年前に比べて12%増えた。2025年10~12月期は上場株の売却額が取得額を上回り、31億6400万ドルの売り越しだった。売り越しは13四半期連続だ。自社株買いも行わなかったため、結果として高水準のキャッシュが積み上がっている。
2026年1月、バフェットからバークシャーのCEOを引き継いだグレッグ・アベル氏は、株主への手紙の中で、バークシャーの莫大なキャッシュの山を「投資待機資金」と表現し、「金融市場に嵐が吹き荒れて他者が恐怖に駆られる時でも揺るぎなく投資できる」、また、事業投資や株式投資を通じて「米国債の保有よりも生産的な事業の所有を常に目指している」として、投資機会を常に模索していることを明かしている。
アベル氏は、バフェット氏が築き上げた「要塞のようなバランスシートを維持し、バークシャー社の基盤が決して損なわれないようにする」と述べるとともに、バークシャーの現金について「ドライパウダー(手元資金)」と呼び、「バークシャーの回復力を損なうことなく、資本を配分する機会は間違いなく増えるだろう。私の役割は流動性水準と資本配分が意図的かつ計画的であり続けるようにすることだ」と記した。
原油市場で「バックワーデーション」(期近物と期先物の価格が逆転)が発生
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で取引される米国の代表的な原油指標であるWTI原油先物の期近(直近限月)が一時113ドル台まで上昇した。商品先物市場では、すぐに受け渡しを行う期近物に加え、取引限月までの期間が長い期先物の取引も行われている。4月3日時点の期近物(5月限月)価格が112ドル台であるのに対して、6月限月は97ドル台、7月限月は89ドル台、8月限月は82ドル台と、期近物と期先物の価格が逆転する「バックワーデーション」が起きている。
バックワーデーションとは、商品先物や金融市場において、期近(決済日が近い)の価格が期先(決済日が遠い)の価格よりも高くなる「逆ザヤ」状態を指す。3月23日の日本経済新聞の記事「バックワーデーションとは 原油供給不安、期近の先物に買い集中」によると、原油先物価格は一般的に保管コストや金利を反映して期先物の価格が高くなりやすいとされる。ところが足元の需給が急速に引き締まると、各決済月の価格を結んだ先物カーブは右下がりの形になると指摘している。
足元の供給不安から即時に調達できる期近の買いが集中しているということだ。需給の引き締まり(供給不足)や即時の現物需要が高い時に発生しやすく、通常は「買い方」に有利な市場環境とされる。
原油価格が上昇した場合、「供給不安主導」で変動しているのか、「需要回復主導」なのかを見極めることが必要だ。需要の底堅さが確認されれば、原油価格は緩やかだが持続的な上昇トレンドに移行することも期待される一方、供給リスクが主導する場合、価格は急騰と急落を繰り返しやすく、ボラティリティが高まりやすくなる。
バークシャーはシェブロン[CVX]株を積み増し、保有上場株式の5位に
前述のインタビューで、バークシャーが保有している2つの石油関連銘柄、シェブロン[CVX]とオクシデンタル・ペトロリアム[OXY]について聞かれたバフェット氏は、「(2社の株価は)大きく上昇するだろう。しかし、だからといって、次に何が起こるかを予測できるわけではない。明日、あちらで何が起こるかは私には分からない」と述べた。
バークシャーは2025年10-12月期において、シェブロンの保有株数を約800万株積み増した。シェブロンはバークシャーが保有する上場株式のうち、アップル[AAPL]、アメリカン・エキスプレス[AXP]、バンク・オブ・アメリカ[BAC]、コカ・コーラ[KO]に次ぐ5位の銘柄で、上場株式全体の7%を占めている。
シェブロン[CVX]が1月30日に発表した2025年第4四半期(2025年12月末)の決算は減収減益だったものの、売上高、利益ともに市場予想を上回った。シェブロンは第4四半期に1日あたり405万バレルの原油を生産した。これは2024年第4四半期の335万バレルと比べて約21%増で過去最高だった。
マイク・ワースCEOは決算発表で、「2025年は同社にとって大きな成果を上げた年だった」と述べた。また、ワース氏は電話会議で、シェブロンは「今後18~24ヶ月で生産量を最大50%増やす可能性がある」とし、「当社の資産と米国には大きな可能性がある」と付け加えた。
中東情勢の緊迫化はシェブロンなどの米石油メジャーにとって、「短期的には原油高による利益拡大」と「中長期的には地政学的リスクによる供給不安定化」という両面の影響を与える。衝突激化やホルムズ海峡の封鎖懸念により、原油先物価格が一時110ドル台まで急騰する中、シェブロンの株価は上昇傾向にある。
石原順の注目5銘柄
