衆院選前後の円安、円高が連動した超長期債相場の変動
米ドル/円は、1月に何度か160円近くまで上昇した。ただそれは、1月23日に、日米の通貨当局が経験的に為替介入の前段階の行動とされる「レートチェック」を行ったことをきっかけに、急反落に転じた。
そして2月8日、日本の衆議院選挙での与党勝利を受けて改めて米ドル高・円安トライとなったものの、すぐに米ドル安・円高に転換すると、その後は一時152円台まで、一般的な予想以上に米ドル安・円高へ戻すところとなった。
この数ヶ月の円安から円高へ転換した米ドル/円の値動きを比較的うまく説明できそうなのは、いわゆる超長期債に分類される日本の30年物国債の価格だろう(図表1参照)。これを見ると、衆院選挙まで円安傾向が続いたのは超長期債価格の下落が続いたことが主因であり、選挙後に円安が反転したのは超長期債価格が反発に転じた影響が大きかったということになりそうだ。
日本の長期金利の代表的な指標は10年物国債利回りだが、これも衆議院選挙前からそれまで続いてきた急ピッチの上昇が一巡するところとなった(図表2参照)。以上のように見ると、米ドル高・円安が160円手前で反転となったのは、日本の財政リスクを懸念した超長期債価格の下落、そして長期金利の上昇が一段落した影響が大きかったということになりそうだ。
10年債利回り上昇は2.3%で終わりではない?=円安再燃の目安
米ドル高・円安は、2025年10月の高市政権誕生から、150円を大きく超える動きが再燃した。では米ドル高・円安は、衆院選挙前の159円ですでに終わったのか。それは、これまで見てきたことからすると、日本の財政リスクへの懸念を受けた超長期債価格の下落や長期金利上昇が終わったかが目安になるだろう。
たとえば長期金利、10年債利回りについては、この間のピークの2.3%で上昇が終わったわけではなく、年内でも2.5%以上の上昇へ向かうという見方も少なくないようだ。そうであれば、日本の財政リスクを懸念した「長期金利上昇=円安」が再燃、その中で米ドル/円が年初来の高値の159円を超える可能性は、まだ消えたわけではないのかもしれない。
金利差との相関関係が復活した米ドル/円=基本的には円高要因
もう1つ、全く別な観点もあるだろう。衆議院選挙後に円安から円高に転じた動きは、それまでほぼ無視したようになっていた日米金利差(米ドル優位・円劣位)縮小に反応したようにも見える(図表3参照)。その意味では、この先の米ドル/円の行方を考える上で、これまで見てきた財政リスクを受けた超長期債や長期金利の動向とは別に、日米金利差も改めて目安になる可能性はある。
ただ、日米の金融政策が、日本は利上げし、一方で米国は利下げと逆方向を目指す流れは当面変わらないとみられる。その意味では、日米金利差は基本的にさらなる米ドル安・円高の目安となるもので、これが手掛かりとなって159円という年初来の米ドル高・円安更新に向かう可能性は、年内という意味ではまず考えにくいのかもしれない。
