米国債への悪影響が懸念されるようになった日本の長期金利上昇

日本など先進国の長期金利は、「世界一の経済大国」である米国の長期金利に連動するのが基本とされていた。ところが2024年頃から、米長期金利では説明できない日本の長期金利の上昇が広がるようになった(図表1参照)。

【図表1】日米の10年債利回りの推移(2021年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米長期金利の10年債利回りは、2025年10月以降は4.2%を上限とする展開が続いていた。ところが2026年に入り、それを上回る動きとなった。それは日本の長期金利、10年債利回り上昇に引っ張られたように見える動きだった(図表2参照)。

【図表2】日米の10年債利回りの推移 (2025年9月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

こうした中で1月下旬、ベッセント米財務長官が日本の片山財務相に対して、日本の長期金利上昇が米国債に悪影響を与えることを懸念する異例の苦言があった。そしてこの後、高市総理は選挙中も消費税減税への言及を意識的に避けるようになったのではないかとの見方が浮上していた。

円安阻止で米国に「借り」ができた日本=消費税減税公約にも影響の可能性

こうした経緯から、3月に予定されている日米首脳会談でも、米国側から財源なき消費税減税など、財政悪化によって長期金利の一段の上昇をもたらす動きに対してけん制が入る可能性が、一部の米国ウォッチャーの間で注目されている。

1月の円安阻止局面で、米通貨当局は為替介入の前段階とされる「レートチェック」を実施した。一般的には予想外だったこの動きは一時的に大きく円高へ戻すきっかけになった。これにより、日本政府としては米政府に「借り」ができたようになったと見られる。このため、首脳会談の場でも米国側から財政健全化と長期金利安定を要請された場合は、日本政府も無視はできないだろう。

「長期金利上昇=円安」への影響も注目

日本の財政を懸念した債券価格の下落、長期金利上昇は、2025年10月の高市政権が誕生して以降、一段と広がり、それは為替相場における円安を後押しした可能性がある(図表3参照)。これは、高市政権が主張する「責任ある積極財政」の「責任」が金融市場で信頼を得ていないことが主因だと見られてきた。

【図表3】米ドル/円と日本の10年債利回り(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

そうした流れが、米政府からの「圧力」でどこまで変わることになるのか。為替相場の円安トレンドの行方を考える上でも、重要な鍵を握る可能性がありそうだ。