12月失業率4.4%の示唆は1月FOMC利下げなし

米国の政策金利であるFFレートと失業率には、失業率が上昇(悪化)すると政策金利を引き下げる方向に動く、またはその逆という逆方向の関係がある。その上で、この関係がより強くなるように失業率に修正を加えた修正値を使うと、両者の逆相関は2008年の「リーマン・ショック」などを受けたゼロ金利から2020年の「コロナ・ショック」以降の異例の局面を除くとかなり強くなる(図表1参照)。

【図表1】FFレートと米失業率・修正値(1990年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

FRB(米連邦準備制度理事会)は、2024年9月のFOMCから利下げを開始したが、その後のFFレート引き下げは遠巻きに見ると、基本的には失業率修正値の上昇にほぼ沿った展開となってきた。

異例の長期化となった米政府機能の一部停止「シャットダウン」明け後に発表された2025年11月分の米失業率が4.6%と予想以上の悪化となったことで、失業率修正値は1月FOMCでの0.5%以上の大幅利下げの必要性を示唆した。ただ市場は、「シャットダウン」明け直後ということから、数字通りに受け止めず12月分の結果を待つところとなっていた。

そうした中で1月9日に発表された12月失業率は、事前予想4.5%よりも良い4.4%となり、同時に11月分も4.6%から4.5%に下方修正された。異例の長期化となった「シャットダウン」明け直後の11月失業率4.6%という結果を真に受けなかった市場の判断は正しかったようだ。

ところで、この12月失業率4.4%で修正値を計算すると、11月に大きく上昇した修正値も逆に大きく低下し、FFレートのさらなる引き下げの必要がないことを示唆するところとなった(図表2参照)。これにより、トランプ政権からの政治的な利下げ圧力などの要因を除けば、1月FOMCでの利下げの可能性はほぼ消えたということになりそうだ。

【図表2】FFレートと米失業率・修正値(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

GDPナウの10~12月期GDP予想は5.1%=「楽観論」拡大する米景気

今回の12月雇用統計の結果とは別に、ここに来て注目を集めているのが2025年10~12月のGDP成長率で、定評の高いアトランタ連銀の経済予測モデル、GDPナウの1月9日に更新された予想は5.1%だった。成熟した先進国である米国の四半期成長率が5%以上もの高い水準になるのは異例と言える。これにより、予想以上に米景気が強いとの楽観論が拡大しているようだ。

今週(1月12日週)はCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)というインフレ指標や小売売上高など注目度の高い米経済指標の発表が多く予定されている。これまで見てきた12月雇用統計の結果やGDPナウの予想などから、当面の米経済指標発表が早期利下げ観測を再燃させる可能性は低く、むしろ米金利上昇をさらに後押しすることになるかが注目されるだろう。