2025年12月16日(火)日本時間22:30発表
米国 11月雇用統計、他
【1】結果:雇用はよいデータもあるが全体としてはまだ弱い
雇用が弱まっていると危惧される米経済にて、12月のFOMC(米連邦市場公開委員会)では0.25%の利下げを決定し、政策金利は3.50-3.75%に引き下げられました。政府閉鎖の影響から発表が遅れていた雇用統計が発表されましたが、11月の非農業部門雇用者数は前月比6万5,000人増と市場予想を上回った一方で、失業率は4.6%まで上昇し、強弱が入り混じる内容となりました。
雇用者数においては、やはり下落トレンドが継続していることがうかがえます(図表1-1)。外れ値の影響を除いた平均と比較してもその水準を下回るレベルでの雇用増にとどまっています。11月分の非農業部門雇用者数が市場予想を上回ったのはポジティブと言えますが、全体的な弱さが意識されます。
内訳をみると、10月は政府閉鎖の影響もあって政府関連が下押しに寄与しました。この部分は持ち直していくと見込まれます。2025年の雇用動向は、医療・教育サービスがプラスに寄与している反面、製造業や医療・教育を除いたサービスの雇用者は伸び悩んでいることもわかります。サービス雇用者の伸び悩みは米経済を支える点でも懸念事項と考えられます(図表1-2)。
失業率上昇の理由の1つに、就業率(16歳以上の人口に占める就業者の割合)の低下が挙げられます(図表2)。米政権下における移民政策や、若年層の雇用難から大学院への進学者が増えるなど、諸々の構造的な要因が重なっていることが就業率低下の要因とされています。また、主には情報技術セクターなど、AIによる業務効率化を端緒とするレイオフが最近では散見されており、この点も足元では失業者の増加要因に寄与していると考えられます。
【2】内容・注目点:失業者1人あたりの求人が伸び悩む可能性
注目は先行きの労働需給です。図表3は中小企業の企業経営者による未充足求人割合(公開している求人における埋まらない求人数の割合)と失業者1人あたりの求人数を比較したもので、青線が先行していることがグラフから示唆されます。
未充足求人割合は、一時期よりも低下していることもわかります。これは一時期と比較すれば採用難の傾向が改善されている状況と言えるでしょう。実際に失業者1人あたりの求人数も低下傾向にあり、求人と失業者の比率において後者のほうが多い状況では、失業者が就職できない期間が長引くことで労働市場の悪化が懸念されます。
【3】所感:意見分かれるFOMCだが目先は労働市場にフォーカスを
直近のFOMCでは先付きの金利見通しにおいて、意見が分かれている状況です。しかし労働市場をみれば先行きも、その改善には時間を要すものと考えられます。物価が懸念材料であるものの、目立って足元で再加速している状況ではないことから、目先は労働市場へのフォーカスが優先されてよいものと考えています。
マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太
