アベル新体制に移行する中、バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]がアルファベット[GOOGL]の株式を取得
著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米投資会社バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]が、2025年7-9月期にグーグルの親会社であるアルファベット[GOOGL]の株式を新たに保有したことがわかった。11月14日、バークシャーが米証券取引委員会(SEC)に提出した2025年9月末時点のフォーム13Fによると、議決権があるアルファベットA株を約178万株、43億ドル相当取得した。
米国で総額1億ドル以上を運用する大手機関投資家は、四半期ごとにSECに対し「フォーム13F」と呼ばれる報告書を提出し、保有銘柄を開示することが義務付けられている。これは米国市場に上場する銘柄が対象であるため、バークシャーが保有する日本の総合商社株などは対象外であり、その投資家のポートフォリオ全体を表すものではない。
バークシャーは2022年第3四半期から12四半期連続、つまり丸3年にわたり株式の売越しを続けている。11月1日にバークシャーが発表した7-9期キャッシュフロー計算書によると、期間中の株式取得額が63億5500万ドルだったのに対し、売却額は124億5400万ドルと、差し引き60億9900万ドルの売越だった。
アップル[AAPL]株の削減との関連性はあるのか?
今回のフォーム13Fで明らかになった新規取得はアルファベット1銘柄、全売却は住宅メーカーのDRホートン(DHI)1銘柄で大幅な銘柄の入れ替えはなかった。一方で、バークシャーの保有上場株において最大の投資銘柄であるアップル[AAPL]株については保有残高を約4200万株(15%に相当)減らした他、米銀大手バンク・オブ・アメリカ[BAC]の株式保有数についても6%減らした。
2025年11月15日付けの日本経済新聞の記事「バフェット氏投資会社、アルファベット株6600億円取得 Apple株削減」によると、バークシャーは2023年10-12月期から断続的にアップル株の売却を進めており、直近2年間で保有株数は7割強減ったとしている。かつてはアップル株だけでバークシャーの上場株ポートフォリオの半分程度を占めていたが、2025年9月末時点の比率は2割強にまで低下した。バークシャーにとって第2の保有銘柄であるアメリカン・エキスプレス[AXP]との差が縮まっていると指摘している。
バフェット氏は、1965年以来務めてきたCEOの座をグレッグ・アベル副会長に譲り、会長に就任することが決まっている。今回、バークシャーがアルファベット株へ投資した理由は明らかでないが、グレッグ・アベル体制に移行しつつあること、また、ポートフォリオの中でクラフト・ハインツ[KHC]に次ぐ10位に入っていることを考慮すると、なにかしらの意味を推測したくなる。前述の日本経済新聞の記事は「スマートフォンなどの分野で競合関係にあるアップルの株式削減と連関している可能性がある」と指摘している。
「1人でも誰かを助けるとき、あなたは世界に貢献している」というバフェット氏の金言
バークシャーが保有する手元キャッシュの残高は過去最高を記録している。現金同等物に米短期債の保有額をあわせた広義の手元資金は、9月末時点で3816億ドルと、前期(第2四半期は約3440億ドル)に比べ376億ドル増加した。単純計算すると6月からの3ヶ月で1日あたり約4.2億ドルずつ現金が増えたことになる。
バークシャーの総資産に占める現金比率は31%と、財務データを比較できる1988年以降で初めて3割を超えたということだ。株式市場が高値圏で推移する中、バークシャーは保有する株式を圧縮しつつ、現金の保有残高を積み上げている。
次期CEOとなるグレッグ・アベル氏は、5月に開かれたバークシャーの年次株主総会において株主から巨額の現金ポジションについて質問された際、「(多額の現金は)戦略的な資産であり、これによって困難な時期を乗り切り、誰にも依存せずにいられる」と答えている。
2008年から2009年にかけての世界金融危機の際、ゴールドマン・サックス[GS]やバンク・オブ・アメリカ、化学大手のダウ[DOW]といった企業を支援し、その後、バークシャーは莫大な利益を上げた。同じような機会が再び訪れたとしたらどうだろう。株式投資において、いつ売るべきかを知るのは難しい。しかし、いつ何を買うかを決めるのはさらに難しい。
前回のレポート「株式を売却し続けるバフェット氏、そこから何を読み取るべきか?」で触れたように、11月10日、バークシャーのCEOとして最後となるバフェットからの手紙が公開された。手紙は次の一文から始まる。
バークシャーの年次報告書でレターを書くことも、株主総会で延々と話すことも、もうありません。英国風に言えば、私は「I’m going quiet 静かにする」つもりです。グレッグ・エイベルが年末に社長に就任する。彼は優れた経営者であり、疲れを知らない働き者で、誠実なコミュニケーション能力の持ち主だ。彼の長期にわたる在任を願う。
そして、彼の故郷であり、バークシャーの本拠地のあるオマハについて、また彼の家族や長年のビジネスパートナーであったチャーリー・マンガー氏、交流があった人々の思い出を綴っている。マンガー氏については60年以上にわたり、自分に多大な影響を与え、これ以上ない教師であり、守ってくれる「兄貴分」だったと述べている。お互いに意見の相違はあったが、口論になったことは一度もないと。
1930年、私は健康で、そこそこ賢く、白人で、男性として米国で生まれた。おお、幸運の女神様、ありがとう。私の姉妹たちは私と同等の知性と、私より優れた性格を持っていたが、全く異なる人生を歩むことになった。幸運の女神はその後も私の人生の大半に訪れてくれたが、90代の人間と付き合うよりやるべきことは他にもあるらしい。運にも限界がある。
老い始めるのは遅かった。始まりは人によって大きく異なる。だが、いったん現れれば、否定はできない。
驚いたことに、私は概ね気分が良い。動きは遅く、読書も次第に困難になっているが、週5日はオフィスに出勤し、素晴らしい人々と共に働いている。時折、有用なアイデアが浮かんだり、そうでなければ得られなかったかもしれない提案を持ちかけられたりする。バークシャーの規模と市場水準のため、アイデアは少ないが、ゼロではない。
おそらくは自己満足的な見方だろうが、私は人生の前半よりも後半の方が充実していると感じている。私からのアドバイスは、過去の過ちを悔やんで自分を責めるのではなく、そこから少なくとも少しは学び、前に進むことだ。成長するのに遅すぎることは決してない。適切なヒーローを見つけ、その人物を模範として欲しい。
偉大さは、莫大な富や名声、政府における強大な権力を蓄積することで生まれるものではない。何千もの方法のうち一人でも誰かを助けるとき、あなたは世界に貢献している。親切はコストがかからないが、同時に計り知れない価値を持つ。宗教的であるか否かにかかわらず、行動の指針として黄金律に勝るものはなかなか見つからない。
私は数えきれないほど無神経な行動を取り、多くの過ちを犯してきたが、同時に素晴らしい友人たちからより良い振る舞いを学ぶという幸運にも恵まれた。覚えておいてほしいのは、清掃をする人も会社の会長と同じく人間だということだ。
変わるのに遅すぎることはない。米国が君たちの可能性を最大限に広げてくれたことに感謝することを忘れてはならない。しかしその報酬の分配は、避けがたく気まぐれで、時に金に目がくらむこともある。自身のヒーローを慎重に選んで、その姿を模範とする。完璧にはなれなくても、常に日々より良い自分になれる。
毎日が「始まりの日」、いくつになっても変わることが出来るし、なにかを変えることは出来る。相場で儲けることはもちろんであるが、相場を通じて彼の人生は名実ともに豊かになったということだろう。
「間違いは消え去り、勝者は永遠に花開く」
(ウォーレン・バフェット)
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