株式市場が堅調に推移する一方、暗号資産市場は明確なネガティブ要因が見当たらないまま下落基調が続いています。11月3日夜、BTCはドル建てで10万5,000ドル台まで下落し、安値を更新しました。10月11日の安値には到達していないものの、市場全体にはやや悲観的なムードが漂っています。
考えられる要因としては、オンチェーンデータ上で「BTC_OG」と呼ばれる3~8年保有していた大口投資家(いわゆる「クジラ」)による送金が続いており、その売り圧力が相場の重しになっている点が挙げられます。
ただし、これらの送金も徐々に消化が進んでおり、売却が一巡すれば反転上昇に転じる可能性もあるでしょう。10月11日の急落以降、現在は「二番底」を探る局面にあると考えられます。
10月最終週の主要イベントであったFOMC(米連邦公開市場委員会)では利下げが実施され、また、トランプ米大統領と習近平中国国家主席との会談では高関税などの発動が1年延期となりました。
これら重要イベントを一通り消化した今、新たな懸念材料は乏しい状況です。現在の下落は、過度な売り圧力による一時的な調整の可能性が高く、今後は反発を挟みながら徐々に上値を試す展開を予想しています。
BTC(ビットコイン)は200日移動平均線でサポートとなるか、一定の反発余地あり
BTC/JPYの日足チャートです。SMA200(橙色)に再び接近しており、過去のデータからもこの水準で反発するケースが多く見られます。MACDも0.00付近で推移しており、方向感を失っている状態です。トレンド転換の起点としては悪くない位置にあり、押し目買いの好機となる可能性があります。
米ドル/円の上昇にも支えられ、BTC/JPYはこの水準からしばらく横ばい推移を続ける展開が想定されます。
続いて4時間足チャートです。ディセンディングトライアングルを形成しており、下ヒゲでサポート割れを何度か試す展開となっています。MACDの位置を比較すると、10月31日の安値形成時よりもやや改善傾向にあり、反発の兆しが見られます。この動きが機能すれば、下降トレンドラインまで戻る展開も考えられます。
もっとも、もう一段下抜けるとMACDのダイバージェンスは無効化されますが、現状では下落し過ぎの印象が強く、短期的にはテクニカルな反発局面が訪れる可能性が高いでしょう。目先では、下降トレンドラインおよびSMA90(水色)のある1,680~1,690万円付近までの戻りを想定しています。
ETH(イーサリアム)はDeFi市場のハッキング報道も、影響は限定的か
ETH/JPYの日足チャートでは、55万円付近の重要サポートラインでの攻防が続いています。この水準を下抜けた場合、SMA200(橙色)のある50万円前後まで下押しする可能性がありますが、買い場として意識されやすいゾーンでもあります。BTC同様、反発する場合には下降トレンドラインまでの回復をイメージしています。
一方、11月3日にはDeFi市場でBalancerのハッキングが発生し、報道によると被害総額は約1.2億ドルとされています。規模は限定的であり、ETHチェーン全体への影響は軽微とみられます。このようなイベントをきっかけに市場が一時的に反発するケースも考えられるでしょう。
