東京市場まとめ

1.概況

日経平均は161円安の51,146円で反落して寄付きました。前日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)後にパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が記者会見をし、12月の追加利下げに慎重な見方を示したことで、ダウ平均やS&P500株価指数が反落、日本市場も売りが優勢でのスタートとなりました。前場は上昇と下落を行き来し、89円高の51,396円で取引を終えました。

日銀金融政策決定会合の結果が公表され、後場寄りは上昇してのスタートとなりました。12時49分に349円高の51,657円をつけ、本日の高値を更新するも、その後は再び売られ、14時4分に335円安の50,972円をつけ本日の安値を更新しました。中ごろには、トランプ米大統領が対中関税を10%に引き下げると伝わり、大引けにかけて上昇、最終的には17円高の51,325円で取引を終えました。

新興市場では東証グロース250指数が3日ぶりに反発、0.6%高となりました。

2.個別銘柄等

レーザーテック(6920)はストップ高水準となる21.2%高の28,575円をつけ大幅続伸となりました。半導体株が強含むなか、同社には特に個人投資家を中心とした短期資金が集中していると思われ、前日の米株式市場で半導体株が上昇した流れを引き継ぎ、買いが殺到して取引を終えました。

大手ITサービスのSCSK(9719)はストップ高水準となる17.8%高の5,107円をつけ大幅続伸となりました。住友商事(8053)が29日の取引終了後、TOB(株式公開買い付け)を通じて同社を完全子会社化すると発表し、TOB価格は5,700円と、前日終値の水準を1,300円あまり上回る内容で、TOB価格にさや寄せする形で買いが殺到しました。

半導体製造装置のディスコ(6146)は8.2%安の51,760円をつけ大幅反落となりました。29日、2025年4-12月期の営業利益が前年同期比3.0%減の1,117億円になるとの見通しと発表し、市場予想を下回ったことに加え、足元の株価が高値圏にあったことで売りが優勢となりました。

家電量販店のノジマ(7419)は9.4%安の1,171円をつけ3日続落となる大幅安となりました。30日朝に発表した2026年3月期の中間決算は、営業利益が前年同期比39%増の276億円と半期では大幅な営業増益となったものの、第2四半期では8.3%増の132億円と第1四半期の86.0%増から増益率が縮小したことが売り材料となりました。

配電制御システムメーカーである、かわでん(6648)はストップ高水準となる18.5%高の9,590円をつけ大幅反発となりました。29日、2026年3月期(今期)の業績予想の修正を発表し、当期純利益が前期比32.4%増の26億円(従来予想は16億円)を見込むと発表し、また年間配当を従来の190円から100円増の290円とすると発表し、これを好感した買いが殺到しました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は方向感に欠け、上昇と下落を行き来するも最終的に17円高と小幅高で取引を終えました。明日の材料は、日米の主力銘柄決算発表がメインとなります。日本では、本日大引け後に、日立製作所(6501)、武田薬品工業(4502)、オリエンタルランド(4661)、東京電力ホールディングス(9501)、明日の取引時間中はデンソー(6902)、第一三共(4568)、住友商事(8053)が予定されています。米国では、アップル[AAPL]とアマゾン・ドットコム[AMZN]のほか、イーライ・リリー[LLY]やメルク[MRK]、コインベース・グローバル[COIN]が予定されています。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)