日経平均の上昇トレンドが継続するための2つの注目点

前回「【日本株】トレンドライン上を維持して高市トレードが継続中、日経平均5万円はあるのか?」では、5万円の大台に乗せるカギは「上向きの5日移動平均線上を維持できるかどうか」としました。

上向きの5日移動平均線上を維持し、上昇トレンドが継続するかたちとなり、ついに10月27日には日経平均株価は史上初となる5万円台に乗せて取引を終えました。10月28日は反落しましたが、5万円台を維持して終えました。

このように高値をつけてから一旦反落すると、上昇トレンドが続くかどうかが気になります。そこで注目したいのが2つのポイントです。1つは日経平均が5万円を上回ったまま維持できるか、もう1つは5日移動平均線上を維持できるかです。

日経平均5万円を上回ったまま維持できるか

5万円という大台は心理的な節目になりますが、この価格を下回ることがなければ、投資家の心理は強気を維持するとともに、損益状況も良好な状態が続くと考えられます。また、5日移動平均線は1週間の終値の平均価格ですが、1週間のトレンドや損益状況も示しています。

そのため、株価が5日移動平均線上を維持していれば、1週間で取引をした投資家は利益を上げていることになり、投資余力が増すとともに、押し目買いも入って株価水準が切り上がりやすいと考えられるのではないでしょうか。

トレンド転換に注意

一方で、5日移動平均線を下回って戻せなくなると、5日移動平均線が下向きに変化しますが、これは5日間で株を購入した投資家の損失の発生を示すことにつながるとともに、利益確定やロスカットの売りが出やすくなり、株価が下げやすい状態になると考えられます。

こうした状況を踏まえ、テクニカル面から今後の日経平均株価の行方を考えますと、5日移動平均線上を維持している限り、上昇トレンドが継続するとともに投資家の損益状況も良好な状態が続くでしょう。

その反面、5日移動平均線を下回って戻せなくなると、5万円を割り込み、直近にあけた2つの窓(23日と24日、24日と27日)を埋めることも考えられ、トレンドの転換に注意が必要になると思われます。

モメンタムは上昇トレンド

上記を踏まえた上で、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上向きに変化して水準を切り上げているのが分かります。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※移動平均線の期間は5日(青線)、25日(赤線)、75日(グレー線)で設定 ※出来高はプライム市場
※モメンタムの期間は10日(青線)で設定し、モメンタムの3日移動平均線(赤線)も表示

短期的な値動きに惑わされないために

モメンタムとシグナルは、水準と向きで株価の先行きを判断しますが、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となっている0ラインを上回っている間は、上昇の勢いが強いと判断できるので、移動平均線と合わせて判断する場合、5日移動平均線上を維持する可能性が高いと考えられます。

一方で、2本線が下向きに変化して水準を切り下げたり、0ラインを割り込んで低下が続いたりするようですと、下落の勢いが一気に強まることになり、5日移動平均線を下回って、前述の窓を埋めるような下落も視野に入ってくるのではないでしょうか。

どこまで日経平均の上昇が続くのか、投資家としては気になるところですが、このようにトレンドとモメンタムの両方をチェックすることで、短期的な値動きに惑わされることなく、利益を伸ばすことができます。引き続き、5日移動平均線とモメンタムを合わせて総合的に判断するようにしたいところです。