現在のファンダメンタルズ:高市トレード再開で円安が進行
先週(10月20日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 150.271円~153.063円 152.886円
・ユーロ/米ドル:1.15768ドル~1.16755ドル 1.16274ドル
・ユーロ/円: 175.242円~177.826円 177.770円
先週(10月20日週)の米ドル/円:週初から週末までほぼ一貫した円安の動き
先週(10月20日週)の米ドル/円は、10月20日に自民と維新が連立に合意、10月21日に行われた首班指名で高市首相が誕生、高市トレード再開という流れで円売りが進行することとなりました。週初から週末までほぼ一貫した円安の動きは週明け10月27日も続いていて、米ドル/円は10月高値となる153円台前半へと足を踏み入れてきました。
今週(10月27日週)はイベントが多い週となりますので大きく2点コメントを加えておきたいと思います。
今週(10月27日週)の米ドル/円:日米財務相会談や金融政策発表などイベントの多い週
金融政策ウィーク
今週は10月29日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、10月30日に日銀会合とECB(欧州中央銀行)理事会が行われます。既に目標水準に到達し現状維持が確定的なECBは大きな材料とはなりませんので、ここでは日米の会合について触れておきます。
まず、FOMCは今回の会合で0.25%、さらに次回12月会合で0.25%と年内に0.5%の追加利下げが見込まれています。インフレ懸念はあるものの現状比較的落ち着いている中で、雇用悪化懸念が連続利下げを正当化する要因となります。
一方で日銀会合においては年内0.25%利上げの思惑は強いものの、高市内閣が発足した直後の10月ではなく12月に利上げする可能性が高いという見方がされています。それでも米国の2回利下げと日本の1回利上げにより日米金利差は合わせて0.75%も縮小することになることを考えると、中長期的には米ドル/円の米ドル安・円高材料になると考えてよいでしょう。
日米財務相会談、日米首脳会談
本日10月27日に日米財務相会談、10月28日に日米首脳会談が行われます。本日の財務相会談では、直近の加藤前財務相とベッセント米財務長官との会談内容を再確認する内容になると思いますが、少なくとも153円台をみた後の加藤前財務相の円安懸念発言を考えると、10月27日朝の153円台は警戒水域に入ってきていることとなります。果たして現行水準に対して何らかのコメントが出てくるのか、単に為替レートは市場が決定すべきという一般論に留まるのか、まずはここを見極めないと先に進めない状況です。
ただ、今後の日米貿易問題を解決していく流れの中で、円安は悪材料となりえますし、10月28日の日米首脳会談でトランプ米大統領が為替に関して何か言う可能性も否定できません。大きく動くとしたら円安よりも円高と構えたい週初であると言えるでしょう。
先週(10月20日週)のユーロ/米ドル:緩やかなユーロ安後にユーロ買いへ
先週(10月20日週)のユーロ/米ドルは、米ドル/円の米ドルの動き同様に、週前半は米ドル買い・ユーロ売りの動きとなっていましたが、10月22日に1.15768ドルで底を打ち、その後週末に向けてはユーロ買い戻しが強まりました。これはユーロ/円が米ドル/円とともに週を通して円安方向に動いた影響が大きかったと言えます。
ユーロ/円は、週初は175円台で始まりましたが、週末には177円台後半へとユーロ買い・円売りが進行し高値圏での引けとなりました。週明けには既にユーロ/円は史上最高値を更新、一時178.145円をつける動きとなっています。米ドル/円は円安牽制発言が飛び出す可能性があっても、ユーロ/円での同様の発言は基本的にはないでしょう。現状は米ドル/円に比べて、ユーロ/円をはじめとするクロス円での円売りの動きが強まりやすい地合いとなっている様子です。
それでも米ドル/円で円高方向に修正が入る時にはクロス円全般にも円買い戻しの動きが入るため、ユーロ/円も現在の史上最高値圏には注意していた方がよいでしょう。
米ドル/円チャート(週足)、上昇チャンネル内で上限に近づく
長期的な判断は週足で行いますので、まずは週足チャートをご覧ください。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
週足チャート(図表1)では、引き続き黄色いライン(長期)で示されるほぼ上昇チャンネル(ウェッジ)の中での動きとテクニカルには目立った変化は出ていません。ただ今週(10月27日週)も上側ラインをトライする水準にあるものの、日米財務相会談、首脳会談から始まり、その後には金融政策イベントが続きますので、短期的には上下どちらにも振り得るという一週間になります。
短期的には日足チャートを見ていきましょう。
米ドル/円チャート(日足)、10月21日にゴールデン・クロスへ
短期的な判断は日足で行います。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
米ドル/円は首班指名で高市首相が選出され、高市トレードが再開。10月21日にはゴールデン・クロスへと転じ、その後も米ドル高・円安の地合いが継続しています。今週(10月27日週)はイベントが多いためどちらにも動きうることは確かですが、チャート的にはまだ円安方向で見た上でデッド・クロスとなったらすぐに仕切った上で、次のゴールデン・クロスを待つという流れを考えるとよいでしょう。
9月中旬以降はゴールデン・クロス、デッド・クロスのシグナルが出ると、ある程度はそのトレンドが継続する流れとなっていますので、ここからもシグナル点灯時は早めに動くとよさそうです。
ユーロ/米ドルは下降トレンド継続
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)は青の上昇ウェッジの中での動きとなっていて、現状はサポートがウェッジのサポートライン(1.15ドル台後半)、レジスタンスが移動平均線1.16797ドルと上下ともかなり狭い値幅を示しています。ただ移動平均線の下での推移が続いていることから、抜けるとしたら下側という見方でいた方がよいでしょう。
日足チャート(図表4)では高値を切り下げる動きが続いていることもあり10月22日にデッド・クロスとなりました。その後の動きが買い戻しとなっているため、ゴールデン・クロスに転じる可能性もありますが、その場合でも次のデッド・クロスで売りというスタンスが基本となります。大きく動くには週足チャートでも示した青の上昇ウェッジを下抜ける必要があります。
ユーロ/円は史上最高値を改めて更新中
ユーロ/円です。
ユーロ/円は史上最高値をつけてからの調整局面はすぐに終わり、本日10月27日、改めて史上最高値を更新してきました。引き続き長期上昇チャンネル(黄色)の中で中期上昇ウェッジ(青)内での動きという捉え方でよさそうですから、目先のターゲットとしては青のウェッジの上側のラインが位置する179円水準ということになるでしょう。
日足チャート(図表6)では米ドル/円よりも早く10月20日時点でゴールデン・クロスが点灯、その後10月27日の史上最高値更新まで強い流れが続いてきました。新高値は買いというブレークアウト手法はトレンドが強い時にはワークしますが、保守的には次のデッド・クロスを待ってその後のゴールデン・クロスで買いでもよいでしょう。
今週(10月27日週)は週初に日米財務相会談、首脳会談という重要イベントから始まるため、その経過を見てからでも決して遅くはないと思います。
それでは今週も良いトレードを!
