日本初の女性首相が誕生

2025年10月27日(月)、日経平均は5万円を突破しました。

2025年10月21日(火)、臨時国会が召集され冒頭の首相指名選挙によって高市早苗首相が誕生しました。日本で初めての女性首相の誕生です。その日、株式市場は朝方から活発な取引がなされ、日経平均が5万円の大台目前という水準まで買われました。先物市場では5万円の大台を突破しました。

26年間にわたって連立政権を組んだ公明党と決別し、日本維新の会と少数与党を形成したこと、閣僚人事に44才の小泉進次郎氏、43才の鈴木憲和氏を起用するような大胆な抜擢人事が見られます。総裁選を争った4人の候補を全員要職に起用するなど、新しい時代の始まりと言ってもよいかもしれません。

個人的なことを述べさせていただければ、筆者は1961年生まれで高市首相とは同学年です。しかも誕生日は1日違い。まさに同世代のトップリーダーの出現を目の当たりにして、なんとも感慨深いものがあります。

1980年代後半のバブルと現在との違い

株価が急ピッチに上昇したことと、不動産市況の上昇を伴っていることもあって、1980年代後半の資産バブルと比べられることも増えています(40年前のことを体験している人もずいぶんと少なくなりました)。確かに当時と今とを比較すると、株価上昇の背景に「過剰流動性」が存在していることは事実です。

1980年代後半はプラザ合意の後の「円高不況」を乗り越えるために日銀は超低金利政策を行いました。1987年10月に米国でブラックマンデーが起こりました。当時、日銀は本来であれば利上げするべきところで利上げできなかったことが、その後の資産インフレとも称される株式・不動産市場の価格高騰につながったとされています。

その時と比べて現在はどうでしょうか。コロナ危機の2020年に世界的な金融緩和が実施され、そこで発生した大規模な過剰流動性が日本の資産市場にも流入して、それが現在の日本株を押し上げています。

破壊と創造をもたらす技術革新が実体経済に及ぼす影響

では実体経済がマネーの押し上げに追いついていないかと言うと、そうとは言い切れません。生成AI、データセンター投資、先端半導体、クルマの自動化、ヒューマノイドロボット、量子コンピューター、核融合発電など、時代を画する新しい技術が次々と生まれ、目が回るほどです。

破壊と創造をもたらす技術革新は世の中を刺激します。既存の価値観が根底から揺さぶられ、まったく新しい枠組みが誕生します。その間に飲み込まれてしまう勢力もあって、光と影が交錯する時代が訪れるのかもしれませんが、それでも未来は輝かしい光に満ちあふれたものに映ります。

日経平均やTOPIXの最高値更新にはそのような時代を画する変化が反映していると見るべきでしょう。

収益改善、ガバナンス改革が進めばさらに投資マネーを呼び込む

企業の収益力も改善しています。プライム市場に上場する企業のROEは平均で9~10%まで高まりました。配当金の増額、自社株買いの実施によって株主を意識した経営が透徹しつつあります。さもないとアクティビティストにつけ入るスキを与えてしまいます。

ガバナンス改革という点では、2026年度より金融庁は企業に対して、必要以上の現預金の保有を改善するように企業統治指針を改めるそうです。日本企業に共通して見られる「過剰な自己防衛意識」の変革を試みるとのこと。

東証プライム上場の企業が保有する現預金は150兆円に達すると見られます。これが活用されれば新たな設備投資が起き、株主に支払われる配当金の増額も期待されます。

結果的にROEはさらに高まることになり、日本の株式市場にはさらに国内外からの投資マネーが入ってくることでしょう。来たる2026年には日経平均が55,000~60,000円に到達する可能性があります。

米国市場との連動性を強めながら日本のマーケットの拡大、成長はもう一段ギアアップしてゆくものと考えられます。同世代の高市首相の政策が株価上昇につながることを期待します。