上値の抵抗線を突破するほど、強い反応を示した株価
10月4日に自民党総裁選が行われ、高市氏が決選投票を制し史上初となる女性総裁になりました。また、この結果を受け株価が大きく反応しました。この反応をテクニカル分析ではどう捉えることができるのか、株価にトレンドラインを引いて分析したいと思います。トレンドラインとは、株価の高値と高値や安値と安値を結んだ線のことで、向きや水準から、その名の通り、トレンド(株価の方向)を判断するものです。
また、高値と高値を結んだトレンドラインは上値の抵抗線(レジスタンスライン)として解釈される反面、安値と安値を結んだトレンドラインは支持線(サポートライン)として解釈されます。
上図のように、2025年の4月以降、5月13日の高値と8月18日の高値(いずれも終値ベース)を結んだトレンドラインを見ると、上値が抵抗しています。そうした中で、今回の自民党新総裁誕生を受け、10月6日の株価はこの上値の抵抗線を一気に突き破って取引が始まり、そのまま長い陽線を引いて取引を終えるとともに最高値を更新し、6日の取引時間中には史上初となる48,000円台に一時乗せる場面がありました。
トレンドラインを上回ったまま継続できるかが新総裁の評価につながる
株式市場は新総裁の誕生を高値更新とトレンドラインの突破という形で反応しており、期待の高さが見て取れます。そうした中、注目されるのが、トレンドライン上を今後上回ったまま維持できるかという点です。
女性新総裁の反応に好感を示した株価は、これまで上値の抵抗となっていたトレンドラインを上回っているため、期待値の高さが分かります。よって、このままトレンドライン上を維持できるかが新総裁の評価につながるとも考えられます。
仮に今後の政策についても株式市場が評価を続けるようですと、今回上回ったトレンドライン上を維持することが考えられるとともに、5万円台に乗せることも視野に入ります。その反面、早晩、このトレンドラインを下回って戻せなくなるようですと、期待の高さに対する反動が出て5日移動平均線を下回るとともに25日移動平均線辺りまで下落することが考えられ、注意が必要になると思われます。
大幅高でもモメンタムの上昇は限定的
図表の上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、急角度で上昇して水準を切り上げているのが分かります。ただ、10月7日は株価が最高値をつけたものの、わずかですが下向きに変化して上昇中のシグナルに接近しており、上昇の勢いが鈍りつつあることを示しています。
こうした状況から、「逆行現象」の発生に注意が必要です。仮に株価水準が切り上がってもモメンタムが低下したり、株価の下落とともにモメンタムがこのままピークアウトして低下したりするようですと、トレンドラインを割り込むことが考えられ、注意が必要です。
歴代4位となる上昇幅でスタートした自民党新総裁の誕生ですが、高評価が続くかどうかは、ひとまずこのトレンドライン上を維持できるかどうかにかかっていると考えられます。これが、よく注意して見ておきたいテクニカル分析における判断基準になるのではないかと思われます。
