モトリーフール米国本社– 2025年10月4日 投稿記事より
割安で魅力的な配当銘柄をチェック
配当株は、特に安定したインカム収入を求める投資家や、配当を再投資して複利効果を狙う投資家の間で人気の高い選択肢でしょう。一般的に、こうした配当株は事業基盤が安定しており、財務面でも成熟度が高く、株価もおおむね妥当な水準で取引されています。
もし割安な水準で投資ができ、配当だけでなく株価の上昇も期待できる銘柄を見つけることができれば、それはまさに一石二鳥でしょう。ここでは、そのような「割安かつ配当も魅力的な」2つの注目銘柄を紹介します。
電動化時代を支える素材企業 : アルビマール[ALB]
同社は世界最大級のリチウム生産企業であり、米国・チリ・中国にリチウム精製プラントを持っています。リチウムは主に蓄電材料として使われており、特に電気自動車(EV)の普及が需要の大きな原動力となっています。
長期的に見ると、世界の自動車産業の主流はほぼ確実にEV化へ進むと考えられており、これが今後数十年にわたって、リチウムの需要を押し上げると見込まれています。アルビマールは世界最高水準のリチウム資産を保有しているだけでなく、その生産コストは非常に低い水準にあります。さらに、同社は米国とアルゼンチンにもリチウム資源を保有しており、これらはまだ開発初期段階にあるため、今後数十年にわたってリチウム生産量の拡大が期待されます。
足下でアルビマールの株価が割安である理由のひとつは、中国のバッテリー・メーカーCATL(寧徳時代新能源科技(300750))にあります。中国のリチウム鉱山が、採掘許可の期限切れにより一時的に操業を停止したことです。当初、操業停止は6~12ヶ月続くと予想されていました。しかし、実際にはわずか1ヶ月で再開されたため、2025年のリチウム市場では供給過剰状態が続き、リチウム価格は低水準にとどまるとの見方が強まっています。
本稿執筆時点で、アルビマールの配当利回りは約2%とそれほど高い数字ではありませんが、株価は割安な傾向があります。上場銘柄の適正株価を算出するモーニングスターは、同社の適正株価(フェアバリュー)を200ドルと評価しており、現在はその水準から約58%も割安で取引されています。つまり、長期的なリチウム関連の勝ち組企業を手頃な価格で購入できる絶好の機会かもしれません。
ビール界の巨人 : コンステレーション・ブランズ[STZ]
コンステレーション・ブランズ[STZ]は、米国最大のアルコール飲料メーカーであり、ビール・ワイン・スピリッツの各分野で幅広く事業を展開しています。同社の売上の80%は「モデロ」「コロナ」といったメキシコ産ビールの輸入によるものです。また、同社は医療用・嗜好用大麻を製造するキャノピー・グロース[CGC]の株式を26%保有しています。
コンステレーション・ブランズの強みは、強力なブランド力と販売代理店との良好な関係によって、広範な経済的優位性「堀(moat)」を築いていることです。実際、同社は米国市場におけるメキシコ産ビールブランドの独占販売権を取得しており、米国のプレミアム輸入ビール市場で圧倒的な地位を築いています。
一方で、同社の株価が割安で推移しているのは、ビール需要の減速が要因です。消費者が支出を控えており、この傾向は当面続くと予想されます。さらに、経営陣は、需要の減少、マクロ経済の不透明感、関税によるコスト増を受けて、2026年度の業績見通しを下方修正しています。
短期的には逆風に直面しているものの、長期的には堅実な成長ポジションにあります。主力のビール事業に加え、新フレーバー、ノンアルコールビール、低カロリービールといった若年層を惹きつける革新的な新商品ラインアップを展開予定であり、将来の成長余地は大きいと見られています。
本稿執筆時点で3%の配当利回りで、自社株買いを含めると総利回りは8.3%になります。また、同社の株価は、モーニングスターが算出するフェアバリューの225ドルに対し、41%の割安水準で取引されています。
これらの2銘柄は、逆風がやがて収まれば長期的な株価の上昇の可能性があるでしょう。また、株価が回復するまでの間に、安定的に配当を実施する可能性があります。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Daniel Miller は記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はコンステレーション・ブランズを推奨しています。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。
