東京市場まとめ

1.概況

前日の米国市場は主要3指数が揃って最高値を更新した流れを引き継ぎ、日経平均は続伸して寄付きました。朝方から買いが優勢での推移となり、9時3分に515円高の44,888円を付け、本日の高値を更新しました。一方で、連日で最高値を更新していることもあり、短期的な過熱感が意識され、その後は利益確定の売りが出て、上げ幅を縮小しての推移となりました。前引けにかけて持ち直した日経平均は322円高で午前の取引を終えました。

後場は堅調に推移し、再び高値を目指す展開となりました。中ごろから大引けにかけて44,700円台半ばから44,800円台後半のレンジで推移した日経平均は最終的に395円高の44,768円で大引け、3日連続で最高値を更新しました。

新興市場では東証グロース250指数が続落、0.2%安となりました。

2.個別銘柄等

フジクラ(5803)は一時2.6%高の14,355円を付け、上場来高値を更新しました。米国のAI・半導体関連株が上昇基調を強めており、データセンター向け光ファイバーを手掛ける同社へも買いが入っています。需給逼迫を背景に光ファイバーケーブルの販売価格が上昇していることも、同社の業績拡大への追い風になるとの見方から、外資系証券が目標株価を引き上げたことも株高を支えています。

楽天グループ(4755)は3.3%高の960.9円をつけ反発となりました。同社の持ち分法適用会社でがん治療を手がける楽天メディカルが、「資金調達拡大に向けて2027年以降の新規株式公開(IPO)を検討している」と伝わり、IPO関連の収益貢献やグループの企業価値向上を期待した買いが優勢となりました。

自動車部品の太平洋工業(7250)は一時2.9%高の2,664円を付け上場来高値を更新しました。アクティビストとして知られるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントが同社株を買い増したことが明らかとなり、同社は創業家出資の特別目的会社を通じてTOB(株式公開買い付け)を実施しているが、エフィッシモの要求でTOB価格が引き上がるなどの思惑が買いを呼びました。

業務用食品卸売のトーホー(8142)は4.1%安の3,395円をつけ続落となりました。11日発表した2026年1月期の中間決算で、海外子会社の採算悪化や、のれんに関する減損損失などにより、純利益が前年同期比21.4%減の17億円となり、減益を嫌気した売りがでました。

ネット不動産サービスなどを手掛けるGA technologies(3491)は一時16.3%高の2,559円を付け年初来高値を更新しました。11日、2025年10月期の第3四半期決算を発表し、売上収益から売上原価と販管費を除いた事業利益が前年同期比約2.3倍の59億円と、大幅増益となったほか、2025年10月期の年間配当は1株あたり8円にする計画で、18年に上場して以来の初配当を好感した買いが入りました。

VIEW POINT: 明日への視点

日経平均は週間で1,749円(4.1%)高と大幅高で取引を終えました。米国のハイテク株高につられて、日本市場もソフトバンクグループ(9984)や半導体関連銘柄が相場をけん引しています。

来週は、日米の中銀会合が目玉となります。もっとも、米国では利下げの実施は高い確率で織り込まれており、サプライズがあるとすれば利下げ幅が0.5%となった場合で、その際には株市場のインパクトも大きいものと考えられます。日本は、利上げが意識されますが、来週は見送られる公算が高いでしょう。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)