2025年8月29日(金)8:30発表
日本 東京都区部消費者物価指数2025年8月分速報

【1】結果:東京コアCPIは前年同月比2.5%上昇 コアコアは同3%上昇

【図表1】東京CPI 2025年8月速報値結果
出所:総務省よりマネックス証券作成

2025年8月の東京都区部消費者物価指数(以下、東京CPI)は、ヘッドラインの総合指数は市場予想と一致する前年同月比2.6%上昇し、前回7月(改定値)の同2.9%から伸びが鈍化しました。

コア指標である生鮮食品を除く総合指数は前年同月比2.5%上昇と前月から0.4%ポイント伸びが減速しました。食品類は前月から横ばいで、依然として高止まりの様子がうかがえるも、エネルギーの低下がヘッドラインとコア指数の伸び減速に寄与しました。

生鮮食品とエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は同3.0%上昇と、3%台で横ばい圏の動きとなっています(図表1)。品目間でまちまちではあるものの、家具などの耐久財や、一部のサービスは伸びの減速がみられました。

【図表2】東京CPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:サービスインフレは底堅いが強いとは言えない

【図表3】サービスCPIの推移(前年同月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

東京都区部のサービスCPIは、2025年4月以降、横ばい圏から緩やかに低下して推移しています(図表3)。一般サービスにおける外食は前年同月比5.4%上昇と、前月よりも伸びが鈍化するなど、一部に懸念材料があるものの、底堅さがうかがえる内容です。

【図表4】東京都区部サービスCPIの推移(季節調整値、前月比、%)
出所:総務省よりマネックス証券作成

底堅さの一つには、短期的な変動がみえたサービス物価の推移(前月比)にあります。2024年夏以降、振れを伴いつつも均せばプラス圏で推移していることがあげられ(図表4)、少しずつながら上昇基調が続いているものと判断できるでしょう。とはいえ、サービスのインフレが強いとは言えず、利上げによって、サービスインフレが鈍化する可能性は懸念されるでしょう。

【3】所感:日銀高官は利上げのコミュニケーションを続けるか

8月28日には、日銀の中川審議委員の講演があり、その中で「日銀の経済・物価の見通しが実現すれば利上げを進めていく」との見方を示しました。見通しに沿っているかは今後のデータ次第と想像されますが、ある程度、市場に次回の利上げを意識させる意図があったようにも感じます。

9月2日には氷見野日銀副総裁の講演もあり、市場の混乱を避けるべく、事前のコミュニケーションとして早期の利上げが示唆される可能性も大きいのではと考えられます。8月28日に発表された米国のGDP改定値が上方修正されるなど、グローバル経済も底堅さが見える部分もあり、10月会合の利上げも視野に入れておくべきと考えます。

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太