東京市場まとめ
1.概況
日経平均は277円高の42,098円で寄付きました。3連休の間にドル円が円安にふれ、買いが優勢でのスタートとなった日経平均は、前場は堅調な推移となりました。米中の関税交渉において、米国側が対中関税の一部を再び90日間延期するとし、米中の緊張緩和も株高を支え、1,029円高の42,849円と2024年7月に付けたザラ場の最高値(42,224円)を上回って前場の取引を終えました。
後場も堅調なスタートとなった日経平均は、14時ちょうどに1,179円高の42,999円をつけ本日の高値を更新しました。その後は利益確定の売りが出たことで伸び悩み、上げ幅を縮小しての推移となりました。また、今晩に発表される7月の米CPI(消費者物価指数)の内容を前に、上値追いは限定的となり最終的には897円高の42,718円で大引けとなりました。TOPIXも後場中ごろに最高値を更新する3,082ポイントをつけ、最終的には42ポイント高の3,066ポイントで取引を終えました。
新興市場では東証グロース250指数が反落、0.3%安となりました。
2.個別銘柄等
三井金属鉱業(5706)は12.9%高の7,556円をつけ大幅反発となりました。8日、2026年3月期(今期)の当期純利益が従来予想の140億円から30億円上方修正する前期比73.7%減の170億円になる見通しだと発表し、減益幅の縮小を好感した買いが集まりました。
アドバンテスト(6857)は6.3%高の11,150円をつけ4日続伸となる大幅高となりました。米政府がエヌビディア[NVDA]などにAI半導体の対中輸出規制を解除したことで「H20」などの輸出が再開する期待感の高まりが半導体関連株への買い材料となりました。
オリンパス(7733)は5.8%安の1,718円をつけ大幅反落となりました。8日、2026年3月期の第1四半期決算を発表し、営業利益は前年同期比39.6%減となる165億円、通期での営業利益は前期比16.3%減の1,360億円と従来予想から140億円の下方修正を見込むとし、これを嫌気した売りが優勢となりました。
日本ペイントホールディングス(4612)は10.4%安の1,183円をつけ5日ぶりに反落となりました。8日、2025年12月期の中間決算を発表し、純利益は前年同期比34.4%増となる874億円となり、通期の業績予想に対する進捗率も54.0%と堅調な業績動向となるも、業績予想の上方修正がなかったことが失望売りにつながりました。
光製品メーカーの精工技研(6834)は一時、15.6%高の7,340円をつけ年初来高値を更新しました。8日、2026年3月期の第1四半期決算を発表し、純利益は前年同期比3倍強となる9.46億円と大幅業績拡大が好感され、買いが集まりました。データセンター向けの需要が同社の製品拡大に寄与しました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均、TOPIXともに過去最高値を更新する大幅高となりました。明日の材料は、米国の金融政策の判断材料となるインフレ指標に注目が集まります。7月のコアCPI(消費者物価指数)の市場予想は前月比0.3%上昇と、前回6月の同0.2%から加速が見込まれ、また前年同月比は3.0%上昇とこちらも加速が見込まれています。次回9月の利下げが織り込まれている中で、インフレの加速が示された場合には、利下げ期待が剥落する可能性があるでしょう。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
