東京市場まとめ
1.概況
日経平均は25円安の39,795円と反落して寄付きました。前日の米国市場では主要3指数が揃って上昇しましたが、日経平均は利益確定の売りが優勢となり、下落してのスタートとなりました。また、本日は株式需給に影響を与えるとみられる上場投資信託(ETF)の分配金捻出に絡んだ換金売りの観測が出ていたこともあり、10時10分には39,547円まで下落しました。
その後も安値圏での推移が続き、日経平均は210円安の39,610円で前引けとなりました。後場も基調は変わらず、軟調な展開となりました。13時半にかけては持ち直す動きも見られましたが続かず、徐々に下げ幅を拡大し、14時39分には290円安の39,530円をつけて本日の安値を更新しました。その後は終盤にかけて持ち直し、下げ幅を縮めましたが、最終的には174円安の39,646円で取引を終えました。
新興市場では東証グロース250指数が5日続伸し、1.4%高で取引を終えました。
2.個別銘柄等
ディスコ(6146)は4.2%高の43,010円をつけ、3日ぶりに反発しました。2026年3月期第1四半期の純利益が、従来予想していた30%減の167億円から一転し、前年同期比で微増の237億円になると7月9日に発表し、これを好感した買いが入りました。
イオン(8267)は4.8%安の4,320円をつけ、3日続落しました。傘下の金融子会社であるイオンフィナンシャルサービス(8570)が2月に連結子会社化したベトナムの金融会社による買収前の不適切な会計処理が判明したことを受け、7月11日に予定していた2026年2月期第1四半期決算の公表を7月31日に延期すると発表しました。これを嫌気した売りが出たようです。
楽天グループ(4755)は3.2%高の808.5円をつけ、3日続伸しました。外資系証券が7月9日付で同社の調査を開始し、投資判断を3段階で最上位の「オーバーウエート」、2026年12月までの目標株価を足元の水準より4割超高い1,150円に設定したことを材料視した買いが入りました。
サイゼリヤ(7581)は0.5%高の5,000円をつけ、3日続伸しました。7月9日に発表した2025年8月期第3四半期決算では、低価格戦略を維持して客足を伸ばしたほか、コスト削減も寄与し、純利益は前年同期比50.4%増の77億円となりました。また、今期の配当を従来予想から5円増額し、30円(前期は25円)にすると発表し、これを好感した買いが集まりました。
不動産ビジネスを手掛けるアズ企画設計(3490)は11.0%高の2,777円をつけ、大幅高となりました。7月9日に発表した2026年2月期第1四半期決算では、最終損益が6,200万円の黒字(前年同期は1億7,200万円の赤字)に転換し、あわせて株主優待制度の拡充を発表したことが好感され、買いが優勢となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
日経平均は終盤にかけて下げ幅を縮めたものの、174円安と3日ぶりに反落しました。主だった買い材料が乏しく、方向感に欠ける展開となりました。
明日の注目材料は、本日引け後に発表されるファーストリテイリング(9983)とセブン&アイ・ホールディングス(3382)の決算です。小売業の業績動向が更新され、先行きの見通しや、内需の動向に対する経営側の見解に注目が集まります。
(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太)
